分電盤は、家庭や事業所の電気を安全に使うために欠かせない設備です。経年劣化や生活スタイルの変化により、分電盤の交換が必要になることがあります。しかし、どこに依頼すればよいのか、費用はどの程度かかるのか、初めての方にはわかりづらいものですよね。
この記事では、分電盤交換の依頼先や費用相場、選び方のポイント、よくある質問まで詳しく解説します。
分電盤交換はどこに頼むべき?依頼先の種類と特徴

分電盤の交換は電気工事士の資格が必要な専門性の高い作業です。どこに依頼するべきか迷ったときは、それぞれの業者の特徴を理解して選択をしましょう。主な依頼先と、その特徴について説明します。
電気工事業者
電気工事業者は、分電盤交換の専門知識と技術を持つプロフェッショナルです。地元の電気工事業者は、住宅や店舗の電気工事を日常的に行っていることが多く、精度の高い作業と迅速な対応が期待できるでしょう。
また、直接依頼することで中間マージンが発生せず、費用を抑えやすい傾向があります。施工実績が豊富な業者を選ぶことで、安心して任せられます。
電力会社
電力会社は、直接分電盤交換工事を行うことは少ないですが、提携する電気工事業者を紹介してくれる場合があります。電力会社を通じて依頼することで、信頼性の高い業者を選べる安心感があるのが魅力です。
とくに契約アンペア数の変更や主幹ブレーカーの容量変更を伴う場合は、電力会社への申請が必要となるため、相談窓口として活用できます。
家電量販店
家電量販店でも分電盤交換の受付を行っている場合があります。多くの場合、提携する電気工事業者が工事を担当します。家電量販店を利用するメリットは、家電の購入や設置と合わせて一括で依頼できる点です。
ただし、店舗によっては対応していない場合もあるため、事前の確認が必要です。
地域の電気店
地域の電気店は、地元密着型のサービスを提供しており、迅速な対応やきめ細やかなサポートをしてくれるでしょう。分電盤交換以外にも、家電の設置や修理など幅広いサービスを提供していることもあります。
見積もりや調査に費用がかかる場合もあるため、依頼前に確認しておくと安心です。
リフォーム会社
リフォーム会社でも分電盤交換を依頼できます。住宅全体のリフォームや設備更新の一環として分電盤交換を行うケースが多く、他の工事とまとめて依頼したい場合に便利です。
ただし、実際の施工は提携する電気工事業者が担当するため、費用が割高になることがあります。
分電盤交換はホームセンターに依頼できる?

ホームセンターでも分電盤交換を依頼できる場合がありますが、いくつかの注意点があります。
提携する電気工事業者に外注する形が一般的
ホームセンターで依頼しても、実際の工事は提携する電気工事業者が担当するのが一般的です。分電盤やブレーカー自体はホームセンターで購入できますが、交換作業には電気工事士の資格が必要なため、専門業者が担当します。
依頼の際は、店舗ごとに提携業者の有無や紹介の可否が異なるため、事前に確認しておきましょう。
交換工事まで対応している店舗は一部に限られている
すべてのホームセンターが分電盤交換工事に対応しているわけではありません。分電盤の販売のみで、交換作業は受け付けていない店舗も多く見られます。
通販や店頭で分電盤を購入した場合でも、そのまま交換工事まで依頼できるとは限らないため、購入前に交換サービスの有無や提携業者の紹介が可能かどうかを確認する必要があります。自分で別途電気工事業者を探さなければならないケースもあるので、注意が必要です。
費用が割高になる傾向がある
ホームセンター経由で分電盤交換を依頼すると、仲介手数料や外注費が工事費用に上乗せされるため、直接電気工事業者に依頼する場合より費用が高くなる傾向があります。工事内容が固定化されている場合も多く、柔軟な対応や費用調整が難しいこともあります。
費用を抑えたい場合や緊急対応が必要な場合は、地元の電気工事業者に直接依頼する方法も検討したほうがよいでしょう。
分電盤交換が必要なタイミングとは?

分電盤の交換は、故障やトラブルが発生してからでは遅い場合があります。安全かつ快適に電気を使用するために、適切なタイミングで交換を検討しましょう。
法定耐用年数・メーカー推奨年数が経過したとき
分電盤の法定耐用年数は15年とされており、多くのメーカーでは10年から15年を交換の目安としています。とくに、内蔵されているブレーカーの寿命が約13年とされているため、13年を過ぎた時点での交換が推奨されるケースが多いです。
経年劣化が進むと、内部の部品や接続端子が傷み、正常な動作ができなくなるリスクが高まります。長期間使用している分電盤は、突然の故障や火災など重大な事故につながる可能性があるため、耐用年数を過ぎた場合は早めの交換を検討しましょう。
明らかな異常や故障の兆候があるとき
以下のような症状がある場合は、分電盤の劣化や故障が疑われます。
- ブレーカーが頻繁に落ちる
- 分電盤の表面が熱くなる、焦げている
- 異音がする、ひび割れがある
- 照明がちらつく、テレビ画面が乱れる
- テストボタンが反応しない
- 分電盤から焦げた臭いがする
このような異常が見られる場合は、早めに専門業者に点検を依頼し、必要に応じて交換を検討しましょう。
安全基準を満たしていないとき
1995年以前に設置された古い分電盤や、漏電ブレーカーが未設置の分電盤は、現在の安全基準を満たしていない場合があります。また、単相2線式の分電盤や、分岐回路ブレーカーが旧型の製品である場合も、現代の電気使用環境に適合しないことが多いです。
こうした古い分電盤を使い続けると、過負荷や漏電時に安全装置が正常に作動しないリスクが高まります。安全確保のためにも、現行基準に適合した分電盤への交換が必要です。
電気使用量や生活スタイルが変化したとき
家庭内で新しい家電製品や設備(エアコン、IHクッキングヒーター、HEMSなど)を導入した場合や、電力使用量が増加した場合は、既存の分電盤では対応できなくなることがあります。また、専用回路が必要になった場合や、回路数が足りない場合も、分電盤の交換や増設が必要です。
生活スタイルの変化に合わせて分電盤を見直すことで、安全かつ快適に電気を利用できる環境を維持できるでしょう。
分電盤交換の費用相場と内訳は?

分電盤交換の費用は、工事内容や設置状況、回路数などによって異なりますが、一般的な相場や内訳を把握しておくと安心です。
分電盤交換の費用相場
分電盤交換の総額は、4万~10万円程度が一般的です。小規模な8回路分電盤の場合は約6万円、12回路など回路数が多い場合や木箱の撤去を伴う場合は8万円ほどになるケースが多いです。マンションや古い住宅で追加工事が必要な場合は、さらに費用が上がることもあります。
費用の内訳
分電盤交換にかかる費用の内訳を、代表的な項目ごとに一般的な住宅を例に挙げてまとめました。
費用項目 | 費用相場 | 説明 |
分電盤本体価格 | 2万~4万円 | 分電盤そのものの価格で回路数や仕様で変動 |
漏電ブレーカー本体価格 | 3千~1万円 | 主幹に設置される漏電遮断器の費用 |
安全ブレーカー本体価格 | 1千円程度 | 各回路ごとに設置されるブレーカーの価格 |
分電盤取替工事費用 | 2万円~ | 分電盤の取り替え作業にかかる工賃 |
ブレーカー単体取替工事費用 | 8千円~ | ブレーカーのみを交換する場合の工賃 |
廃棄処分費用 | 2千円程度 | 既存分電盤や部品の廃棄処分にかかる費用 |
出張費・基本料 | 3千~1万円 | 業者によっては別途発生 |
追加工事費用 | 1万~数万円 | 配線の延長や回路増設、木箱撤去などが必要な場合に発生 |
費用は一例であり、設置状況や回路数、追加工事の有無などで変動します。
分電盤交換の依頼先を見つけるポイント

分電盤交換を依頼する際は、以下のポイントを参考に業者を選ぶと安心です。
施工実績が豊富である
分電盤交換を依頼する際は、施工実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。実績が多い業者は、さまざまな現場での経験を積んでいるため、予期せぬトラブルにも柔軟に対応できます。
また、過去の施工事例を確認することで、技術力や対応力を客観的に判断できます。実績の豊富さは安心感と比例するといってよいでしょう。
見積もり内容が明確で比較しやすい
見積もり内容が明確で詳細に記載されている業者を選ぶことが大切です。分電盤本体の価格、工事費、出張費、廃棄費用など、費用の内訳がはっきりしていれば、複数業者の見積もりを比較しやすくなります。
不明瞭な項目が多い場合は、後から追加料金が発生するリスクがあるため注意が必要です。
アフターサービスや保証内容が充実している
分電盤交換後のトラブルや不具合に備えて、アフターサービスや保証内容が充実している業者を選ぶと安心です。保証期間や保証範囲が明確に示されているかを事前に確認しましょう。
工事後のフォロー体制が整っている業者であれば、万が一の際にも迅速な対応が期待できます。
口コミや評判がよい
インターネットの口コミやレビュー、実際に利用した人の評価を参考にすることで、業者の信頼性やサービスの質を判断できます。とくに、対応の丁寧さや工事後の満足度など、実際の利用者の声は業者選びの大きな手がかりとなります。知人や家族からの紹介もおすすめです。
地元の電気工事会社であれば迅速な対応も
地域密着型の電気工事会社は、現場への移動時間が短く、緊急時にも迅速な対応が可能です。地元での実績が豊富な業者は、細やかなサービスやアフターケアにも力を入れていることが多い傾向にあり、安心して依頼できます。
地域の特性や住宅事情にも精通している点もメリットです。
分電盤交換に関するよくある質問

分電盤交換に関してよく寄せられる疑問について、Q&A形式で解説します。
分電盤交換に申請は必要?
分電盤交換の際、主幹ブレーカーの容量変更や契約アンペア数を増減する場合は、電力会社への申請が必須となります。これは、電気の供給契約内容が変わるため、電力会社側で設備の確認や契約変更手続きが必要となるからです。
単純な分電盤の交換のみで契約容量やブレーカー容量に変更がなければ、特別な申請は不要なケースが多いですが、念のため事前に電力会社や専門業者に確認するとよいでしょう。
マンションでの分電盤交換のポイントは?
マンションで分電盤を交換する場合、戸建て住宅とは異なる注意点があります。まず、工事を行う前に管理規約や管理組合への確認・申請が必要です。共用部分や配線の関係で工事の方法や作業時間に制約が設けられていることが多く、無断で工事を進めるとトラブルの原因になります。
また、マンション全体の電気容量や設備状況によっては、分電盤や回路の増設ができない場合もあります。工事を依頼する際は、事前に管理会社や管理組合と十分に調整し、専門業者と連携して安全かつスムーズに進めることが重要です。工事後の点検や報告も忘れずに行いましょう。
分電盤交換はDIYできる?
分電盤の交換作業は、電気工事士の資格を持つ専門業者でなければ行えません。無資格で分電盤を交換することは、法律で禁止されており、重大な事故や火災のリスクを伴います。
分電盤は家庭の電気を一括して管理する重要な設備であり、万が一の施工ミスがあると、感電や漏電、火災などの危険が生じます。安全な電気環境を維持するためにも、有資格の電気工事業者に依頼しましょう。
また、交換後の点検やアフターサービスも専門業者であれば対応が可能です。費用を抑えるためにDIYを検討する方もいますが、安全性の観点からも、分電盤の交換は必ず専門業者に任せましょう。
分電盤交換は信頼できるプロに依頼を!
分電盤は家庭の電気安全を守る重要な設備です。火災や感電などの事故を防ぐためには、適切なタイミングでの交換が欠かせません。分電盤交換を検討する際は、実績豊富で信頼できる業者を選び、安全な電気環境を整えましょう。
分電盤の法定耐用年数は15年、メーカー推奨は10~15年程度です。異常な症状がある場合や安全基準を満たしていない場合は、年数にかかわらず早急に交換を検討してください。また、生活スタイルの変化に合わせた分電盤の交換も、快適な電気生活のために重要です。
費用面では約4万~10万円程度が相場ですが、分電盤の種類や工事内容によって変動します。複数の業者から見積もりを取って比較検討し、内訳が明確で保証やアフターサービスが充実している業者を選ぶことをおすすめします。
分電盤交換は電気の安全に直結する重要な工事です。電気工事士の資格を持つ専門家に依頼し、安全で快適な環境を整えましょう。