近年、都市部でも害獣による被害が増加しており、多くの人が対策に悩まされています。本記事では、害獣駆除について、自己対処が可能なケースと専門家に依頼すべきケースを明確に解説し、適切な対処方法をご紹介します。
害獣駆除とは

害獣による被害は、私たちの生活に深刻な影響を及ぼすことがあります。家屋への損傷、農作物の食害、さらには健康被害まで、その影響は多岐にわたります。
しかし、むやみに駆除を行うことは法律違反となる可能性もあるため、正しい知識と適切な対処方法を知ることが重要です。ここでは、害獣駆除の基本的な考え方と、注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。
害獣の種類
近年、日本国内で確認される害獣の種類は増加傾向にあり、その生息域も都市部にまで広がってきています。これは、都市開発による自然環境の変化や、外来種の増加などが要因として考えられます。
害獣の種類を正確に把握することは、効果的な対策を立てる上で非常に重要です。それぞれの害獣には特有の習性や行動パターンがあり、これらを理解することで、より適切な対策を講じられます。また、法律による保護対象かどうかの確認も、この段階で行う必要があります。
ネズミ
ネズミは最も一般的な害獣の一つで、主にクマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミの3種類が家屋に侵入します。夜行性で、その前歯は1週間で約3mmも伸びるため、常に何かをかじる習性があります。
電気配線や木材、食品などを食い荒らすだけでなく、糞尿による汚染や病気の媒介など、衛生面での問題も。また、繁殖力が強く、年に4-8回出産し、1回につき6-12匹の子を産むため、放置すると被害が急速に拡大する特徴があります。
コウモリ
アブラコウモリを中心とした家屋に住み着くコウモリは、夜行性で超音波を使って活動する哺乳類です。体は小さいものの、わずか1.5cmほどの隙間があれば侵入が可能で、主に屋根裏や壁の中に巣を作ります。
最大の問題は糞害で、糞は乾燥して粉状になりやすく、これを吸入すると健康被害を引き起こす可能性も。また、コロニーを形成する習性があり、一度住み着くと群れで生活するため、騒音や悪臭の原因となります。駆除は4月から10月の活動期に行う必要があるでしょう。
アライグマ
北米原産の外来生物で、1970年代にペットとして輸入された後、野生化が進んだ害獣です。夜行性で高い運動能力を持ち、木登りも得意なため、家屋への侵入経路が多岐にわたります。
雑食性で、農作物への被害だけでなく、家畜やペットを襲うこともあります。特に問題なのは、決まった場所で糞尿をする習性があることで、屋根裏などに住み着くと深刻な衛生問題になるでしょう。また、繁殖力が強く、年に1回、3-7頭の子を産むため、個体数管理が困難です。
鳥類
カラスやハトなどの害鳥は、都市部でも頻繁に見られる害獣です。群れで行動する習性があり、一度営巣場所として選ばれると、多数の個体が集まってきます。
主な被害は糞害で、酸性の強い糞は建物の劣化を促進し、衛生面でも問題となります。また、巣材や羽毛による排水管の詰まり、騒音被害なども深刻です。特にカラスは知能が高く、従来の追い払い方法に慣れてしまうため、継続的な対策が必要。なお、多くの野鳥は鳥獣保護法で保護されているため、駆除には正しい知識と適切な許可が必要です。
害獣や害虫による被害とは

住居や事業所における害獣被害は、一見して分かる物理的な損害から、気づきにくい健康被害まで、その種類は多岐にわたります。多くの場合、被害は時間とともに深刻化し、建物の構造や生活環境に重大な影響がでるでしょう。
ここでは、害獣被害の主な種類と、それぞれがもたらす影響について詳しく解説します。
騒音
害獣による騒音被害は、特に夜間の生活に重大な影響を与えます。
天井裏や壁の中を走り回る音、繁殖期の鳴き声、巣作りの際の物音など、その種類は様々です。これらの騒音は睡眠を妨げ、日常生活に支障をきたすだけでなく、継続的なストレスの原因となります。また、音の特徴は害獣の種類を特定する重要な手がかりにもなります。
悪臭
害獣の糞尿や死骸は強い悪臭を放ち、建物内の環境を著しく損なう原因となります。
特に天井裏や床下に住み着いた場合、その臭いは建材に染み込み、長期間にわたって残る可能性があります。また、この悪臭は単なる不快感だけでなく、カビの発生や細菌の繁殖を促進し、健康被害を引き起こすリスクも高まるでしょう。
物の破損
害獣は住処を確保するために、建材を破壊したり、電気配線をかじったりします。
特にネズミ類による配線の損傷は、漏電や火災の原因となる危険があります。また、断熱材を巣材として利用されることで、建物の断熱性能が低下し、光熱費の増加の原因に。さらに、壁や天井の構造材が破壊されると、建物の強度にも影響を及ぼす可能性があります。
汚れ
害獣の体毛や羽毛、糞尿による汚れは、建材の劣化を促進させます。
特に糞尿は酸性が強く、木材や金属を腐食させる原因に。また、これらの汚れはダニやノミの温床となり、新たな衛生問題を引き起こす可能性があります。清掃や消毒が必要ですが、一度染み込んでしまった汚れを完全に除去するのは困難で、建材の交換が必要になることもあるでしょう。
害獣駆除は自分でできる?

害獣駆除を自己対処できるかどうかは、被害の状況や害獣の種類によって判断が分かれます。
ネズミによる軽度な被害で、目視できる程度の数であれば自己対処の可能性があります。また、侵入経路が明確で簡単な補修で済む場合や、市販の忌避剤で対処できる規模であれば検討できるでしょう。
しかし、鳥獣保護法で保護されている動物の場合や、天井裏・壁内に営巣している場合、複数の個体が繁殖している可能性がある場合は、専門家への依頼が必須となります。特に、過去の自己対処で失敗し被害が拡大しているケースでは、早急に専門家に相談するとよいでしょう。
害獣の適切な駆除方法とは

害獣駆除には、DIYで行える対策から専門家の技術が必要な方法まで、様々なアプローチがあります。しかし、やみくもに対策を講じても効果は限定的で、かえって被害を悪化させる可能性も。
ここでは、害獣の種類や被害状況に応じた、効果的な駆除方法について解説します。
煙や音で追い払う
忌避剤や超音波装置を利用した追い払い方法は、比較的安全に実施できる対策の一つです。特に、コウモリやネズミといった小型の害獣に対して効果を発揮します。
ただし、これらの方法は一時的な効果しか得られないことが多く、根本的な解決には侵入経路の特定と封鎖が欠かせません。また、使用する製品や設置場所によっては、ペットや人体への影響も考慮する必要があります。
網や罠などを張って寄り付かないようにする
物理的な防御策は、害獣の侵入を未然に防ぐ有効な方法です。建物の外周に防獣ネットを張ったり、侵入可能な隙間を金網やパテで塞いだりすることで、新たな被害を防げます。
また、光や音を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。ただし、設置には建物の構造や害獣の習性についての知識が必要で、不適切な設置は逆効果となる可能性もあります。
業者に依頼する
専門業者への依頼は、確実な駆除と再発防止を実現しやすい選択肢です。業者は法的規制を理解しているため、適切な許可を得た上で作業を行います。また、建物や害獣の状況を専門的な観点から分析し、最適な対策を提案してくれるでしょう。
費用は自己対処より高くなりますが、長期的に見れば確実な解決につながり、結果的にコストを抑えられる可能性が高くなります。
害獣駆除を自分ではできないケース

鳥獣保護法で保護されている動物の場合、個人での駆除は法律違反となるため、必ず専門家に依頼する必要があります。また、天井裏や壁の中など建物内部に深く侵入している場合や、既に繁殖が始まっているケースでは、建材の解体や専門的な技術が必要となるため、自己対処は困難です。
さらに、高所作業が必要な場合や、大規模な建物損傷が発生している場合も危険を伴うため、プロの技術が不可欠です。過去の自己対処で失敗し、被害が拡大しているケースでは、早急な専門家の介入が望まれます。
害獣駆除にかかる費用

害獣駆除の費用は、対象となる害獣の種類や被害の規模、建物の状況によって大きく異なります。
一般的な相場として、ネズミ駆除で8万円から15万円、コウモリ駆除で10万円から20万円、アライグマ駆除では15万円から25万円程度が目安となります。これらの費用には、駆除作業だけでなく、侵入経路の封鎖や清掃・消毒作業も含まれます。
また、建物の修繕が必要な場合は別途費用が発生することがあります。ただし、早期発見・早期対応により、被害拡大を防ぐことで、結果的に費用を抑えることが可能です。
害獣駆除を自分でする際のポイント

害獣駆除を自己対処する場合、適切な知識と準備が不可欠です。誤った対処は、被害の拡大や近隣トラブル、さらには法的問題にまで発展する可能性があります。ここでは、自己対処を行う際に特に注意すべき重要なポイントについて解説します。
法律やルールを理解する
害獣の多くは鳥獣保護法によって保護されており、無許可での捕獲や駆除は違法です。
たとえ被害を受けていても、法律に違反する行為は厳重な処罰の対象となる可能性があります。また、地域によって独自の条例や規制が設けられていることもあり、対策を行う前に必ず確認が必要です。特に、捕獲や殺処分に関する規制は厳格で、違反した場合は罰則の対象となることを理解しておく必要があります。
近所の迷惑にならないようにする
害獣駆除の作業は、騒音や悪臭、薬剤の使用など、近隣住民に影響を及ぼす可能性があります。
特に集合住宅では、作業内容や時間帯について事前に管理者や近隣住民への説明と同意を得ることが重要です。また、使用する薬剤や機材が周辺環境に影響を与えないよう、適切な配慮と対策が必要です。近隣トラブルを防ぐためにも、作業は計画的かつ慎重に進めることが求められます。
感染症や被害の拡大などに気を付ける
害獣の糞尿や死骸には、様々な病原体が含まれている可能性があります。
作業時は必ず適切な防護具を着用し、直接接触を避けることが重要です。また、清掃や消毒作業も専門的な知識と技術が必要で、不適切な処理は却って被害を拡大させる危険があります。特に、高所作業や建材の解体が必要な場合は、安全面での十分な配慮が不可欠です。
作業中の事故や感染症のリスクを最小限に抑えるよう、慎重な対応が求められます。
まとめ
害獣駆除は、被害の早期発見と適切な対応が重要です。自己対処が可能な軽度な被害であっても、法律や安全面での十分な知識と準備が必要。特に、鳥獣保護法で保護されている動物の場合や、大規模な被害が発生している場合は、専門業者への依頼を検討すべきです。
費用面で迷うことも多いですが、初期対応を誤ると被害が拡大し、最終的により高額な費用が必要となる可能性があります。状況に応じて適切な判断を行い、必要に応じて専門家に相談することで、効果的な害獣対策が実現できます。