農作物や生活環境など、日々の暮らしを脅かす害獣。害獣被害への対応にお困りではありませんか。市役所では害獣駆除に関する相談ができます。ただ、市役所では害獣駆除について対応できる範囲に限りがあり、実際の駆除は行ってくれません。ここでは市役所の害獣駆除への対応とメリット・デメリットについて解説します。市役所と業者の違いも合わせてご紹介。ご自身の状況に合う、より安心できる解決策を見つけましょう。
害獣とはどんな動物が含まれる?

そもそも、害獣とはどんな動物を指すのでしょうか。お困りの被害状況に似たものがあるか、確認してみましょう。
害獣の代表
害獣とは人間の生活に被害をもたらす動物のこと。森林、農作物、生活環境、建築物などに被害を与える哺乳類一般を指して害獣と呼びます。その代表例を挙げてみると、在来害獣と外来害獣に分かれます。
在来害獣はカラス、イノシシ、サル、ネズミ、コウモリ、シカ、イタチなどが挙げられます。外来害獣はアライグマ、ハクビシン、ヌートリア、キョンなど海外から流入し野生化したものです。
被害の例
イノシシ、サル、シカなどは農業への被害をもたらします。例えばイノシシは根菜類や穀物を土から掘り出して食べ、作物の根まで傷つけてしまいます。シカは木の皮や芽を、サルは果物や穀物を食べるなどの被害が。また、都市部ではカラスがゴミを散乱させ、衛生的にも景観上においても被害を出しています。
近年ではクマによる被害も増加傾向に。北海道や長野県、東京都でもクマによる農作物や住宅への被害が増えています。
市役所・保健所は害獣駆除をしてくれない

害獣による被害で困ったとき、市役所や保健所に連絡しようと思う方も多いのではないでしょうか。実は市役所・保健所では害獣の駆除自体は行ってくれません。行政機関の業務に、害獣駆除は含まれていないため、予算の負担も駆除の実施も行うことができないのです。
ただ、害獣駆除に対して、市役所がサポートしてくれる内容もあります。市役所に連絡する前に、市役所の害獣駆除への対応の範囲を確認してみましょう。
例えば、東京都品川区では、品川区総合窓口へ相談できます。捕獲や駆除を目的とした箱わなの設置を、区が契約している専門業者に依頼してくれます。詳しくは、ホームページを確認してみてください。
市役所での害獣駆除への対応
市役所が害獣駆除に対し行ってくれる対応は大きく5つです。
害獣駆除に関する相談に乗る
市役所では害獣駆除に関する相談に乗ってもらうことができます。害獣の被害に対し、何から対応してよいか困ったら、市役所に相談してみましょう。被害の状況によって、自分でできる対策を教えてくれることも。ホームセンターに売っている害獣を追い払うグッズなどの紹介をしてくれる場合もあるようです。
害獣の種類によっても対策が異なるため、自分の被害状況にあった情報やアドバイスがもらえるのは心強いですね。自治体によっては担当者が現場の状況を確認にきてくれる場合もあります。ただ、市役所の担当者は害獣駆除のプロではないため、知識や経験は浅いことも。
害獣駆除の業者を紹介する
自治体によっては、害獣駆除の業者を紹介してくれます。たくさんある業者の中から、依頼先を自分で探すのは難しいと感じる人は紹介をお願いしてみましょう。ただ、自治体によってどんな基準で選定をされた業者なのかはわかりません。市役所から業者の紹介を受けたら、自身で評判や駆除実績、プランの内容などしっかり確認して依頼先を決めましょう。
害獣駆除に関する許可を行う
害獣駆除には実は許可が必要なのをご存じですか。「鳥獣保護管理法」により、被害をもたらす動物に対しても、個人の判断で許可なく駆除を行うことは禁止されています。個人で駆除を行いたい時、多くの場合、捕獲許可を市役所に申請して許可をもらう必要が。自治体によっては狩猟免許なしで許可がおりるケースもありますが要確認です。
駆除の許可を申請する方法は自治体によって異なります。一般的には名前、住所、職業、捕獲の目的や期間などを記載した捕獲に関する申請書と、実施者の名簿、捕獲場所の図面などを市役所に提出します。許可なく駆除をした場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があるので要注意です。
害獣駆除の器具を貸し出す
自治体によっては、害獣駆除のための罠や捕獲器を貸し出してくれることがあります。害獣駆除の器具は、購入には数万円かかることがあるため、個人で準備するには負担がかかります。
貸出期間には2週間から1ヵ月ほどの期限があることや1世帯につき1基の個数制限があることがほとんど。捕獲器を使用するには基本的には「狩猟免許」が必要ですが、例外もあるので、駆除を行いたい時期などと合わせて市役所に相談してみましょう。
害獣駆除に対しての助成金を交付する
自治体によっては、市役所に申請をすることで害獣駆除に対し助成金・補助金が支給されることがあります。畑など被害が広範囲に及ぶ被害が対象となるケースが多く、個人宅の被害は、助成金の対象外となることがほとんど。
害獣を駆除して報奨金が受け取れたり、狩猟免許取得に対しての補助があったりという自治体も。対象や内容、金額が自治体によって違いがあるので市役所に確認してみましょう。
害獣駆除を市役所に相談する際の注意点
市役所に害獣駆除の相談をする際にはいくつか注意点があります。前もって知っておくと、窓口で慌てずに済みスムーズに相談ができます。注意点を確認してみましょう。
即日対応はほぼしてくれない
市役所に害獣駆除の相談をした場合、即日対応してくれる可能性は低いです。土日祝日や年末年始などは窓口自体が開いておらず、平日しか対応してもらえません。「捕獲器を借りたい」「害獣駆除業者を紹介してもらいたい」と思った時にも、対応に時間がかかることがあります。
害獣の被害で今まさに困っていて、早い対応を希望している場合には市役所の対応では遅く感じてしまう可能性が。市役所の対応を待っている間に被害が拡大しそうなケースなどは、駆除業者に相談するなど別の対策を考えた方が良さそうです。
実際の駆除は対応外
市役所では、実際に現地に赴き職員が駆除を行うことはできません。市役所には相談窓口が設置されているに過ぎません。また、捕獲したあとの害獣を回収まではしてくれない自治体も。
害獣の処分には狩猟免許が必要なため、回収は害獣駆除業者に依頼するのが一般的です。害獣には、ウイルスやダニ、寄生虫などが生息しており、触ると病気や感染症のリスクがあり注意が必要です。
フンなどの消毒はしてくれない
害獣のフンなどに対して市役所に消毒を依頼することはできません。害獣のフンや尿、食べこぼしなどはにおいの原因や家の腐敗につながることも。フンや尿によって、害獣が戻ってきてしまう可能性もあり、早めの清掃や消毒が必要です。消毒は市役所では対応外のため、業者への依頼など他の方法を検討しましょう。
屋内の害獣への対応はしてくれない
市役所では家の中にいる害獣への対応はしてくれません。追い払うための相談に乗ってくれることはあっても、家に訪問しての対応は市役所の業務外となります。例えば、屋根裏に侵入した害獣に悩まされている場合にも、市役所では駆除のために赴くなどの対応はできません。
害獣駆除の料金はほぼ被害者負担
害獣駆除をする際に発生した費用は、被害者が負担しなければなりません。市役所を通して業者を紹介してもらった場合でも、その支払いは被害者となります。コストを抑えようと自分で対策できないかと思いがちですが、実際には個人では完璧な対策はなかなか難しいもの。なるべく早く対策し、被害の拡大を防ぐことが重要です。
自治体から害獣駆除の補助金が受けられるか、市役所で確認してみましょう。
それでも相談したい!害獣駆除に関する市役所の窓口は?
害獣駆除はスピードが重要であり、免許も必要であるため、初めから専門の害獣駆除業者に相談するのが解決の近道となる可能性が高いです。それでも、まずは市役所で情報をもらいたい場合があるかもしれません。市役所に相談したいと思ったら、どの窓口に行くとよいのでしょうか。
害獣駆除の窓口は、生活安全課や農林水産課など自治体によって異なります。居住地の害獣駆除担当課は、インターネットで「〇〇市 害獣駆除 市役所」と検索して調べてみましょう。もちろん、自治体の総合窓口で「害獣駆除の窓口につないでもらいたい」と伝えても、担当課に案内してもらえるはずです。
害獣駆除は業者への依頼で早めの対応がおすすめ

害獣を駆除したいと思った時、市役所へ相談する他に、害獣駆除の専門業者への相談も検討しましょう。害獣駆除業者は、市役所とは違う対応ができ、素早く被害に対応してくれることが期待できます。
害獣駆除の対応が遅れるデメリット
害獣の被害に困ったとき、市役所に相談したり、自分での対応を検討していると時間がかかり対応が遅れる可能性があります。害獣駆除の対応が遅れると、家の損傷が進んだりフンなどの悪臭に悩まされたり、農作物を食い荒らされたりと被害は日々増幅していく心配が。害獣への対策は、なるべく早く、被害の小さいうちに行う必要があります。
害獣駆除を業者に依頼するメリット
害獣駆除業者に依頼すると、迅速・確実・安全に害獣を駆除してくれます。業者は、行政機関とは違い即日対応してくれることがほとんど。また、業者は免許を取得した上で、さらに害獣ごとの知識も豊富なため確実に捕獲、駆除、処分を行うことができます。業者には、糞尿の清掃や消毒など衛生面への対応や再発を防止する策も含めての依頼も可能。
害獣駆除に関することを丸ごとおまかせできる点が大きなメリットです。
自分での害獣駆除は可能?

費用や手間を考えると自分で害獣を駆除することはできないかと考える人もいるかもしれません。害獣を自分で駆除するには、法律の観点や安全面での確認が必要です。基本的には個人での害獣駆除は難しいと考えたほうが良いですが、中には自分でできる対策もありますので、ここで確認してみましょう。
「鳥獣保護管理法」で駆除禁止のケースも
「鳥獣保護管理法」により、害獣は保護対象であるため、基本的には個人が勝手に捕獲や駆除を行うことは禁止されています。この法律に触れないために、市役所への申請や狩猟免許の取得が必要となります。
自分での害獣駆除は後始末や感染症の心配も
自分で害獣駆除をするとなると、後始末にかかる手間やウイルスなどによる感染症の心配が出てきます。害獣の出没場所が高所などの場合、作業中の怪我などにも注意が必要となります。
害獣を追い出すためには忌避剤を試そう
個人で害獣の駆除を行うことは難しいですが、害獣を居住エリアから追い出すためには忌避剤を試すという策があります。害獣が嫌がるにおいや超音波の出る忌避剤は、害獣の通り道に置いたり吊るしたりして設置します。忌避剤の効果で、害獣が出て行ったり寄り付かなくなったりすることが期待できます。
また、害獣の侵入経路を事前に塞いでおくことも重要。屋根裏や床下に侵入されないよう隙間を塞いだり、農作物にはネットや柵で防御したりといった対策があります。
害獣駆除の免許を取りたいと思ったら
度重なる害獣被害に対し、自分で狩猟免許を取得して害獣に対応できるようにしておきたいと思う人もいるかもしれません。狩猟免許は各都道府県の試験に合格した上で、狩猟者登録、狩猟税の納付、損害賠償保険に加入する必要があります。視力や聴力の基準を満たし、器具の正しい取り扱いができなければなりません。
狩猟免許の合格率は約80%のようです。狩猟免許については環境省の狩猟ポータルに詳しく解説されています。
どこに相談すればいい?市役所か業者で迷ったら

ここまで害獣に困った際の相談先について見てきました。でも、市役所か業者のどちらに相談するのがいいのか迷ってしまう人もいるかもしれません。状況に合わせて、おすすめの相談先を確認できるよう、以下にまとめました。ご自身の被害の状況などと照らし合わせてチェックし、より安心できる相談先を選びましょう。
市役所に連絡するのがおすすめのケース
以下に該当する人は市役所に連絡、相談するのがおすすめです。
業者を自分で調べるのがおっくう
数ある業者の中から信頼できる業者を見つけ出すのは大変だ、おっくうだと感じる人もいるかもしれません。インターネットをあまり使い慣れていない場合も、業者を調べる作業が重荷になることも。業者調べをおっくうだと感じる人は市役所で相談するのがおすすめです。
市役所に相談すれば、いくつかの業者をピックアップして教えてくれるので、1から調べたり選定したりする手間を少し省くことができます。ただ、市役所からの紹介だからと鵜呑みにして、言われたままに業者を決めてしまうのはおすすめできません。紹介された業者でも、口コミや金額など納得のいく内容かを自身でも確認して見極めるようにしましょう。
自分でできる事前の害獣対策を知りたい
被害を未然に防ぐために自分で害獣対策をしたい人は、市役所に相談してみましょう。実際の被害がまだ起きる前、もしくはたまにしか害獣がやってきていない場合には、自分でできる害獣対策があります。具体的な方法やグッズの紹介など市役所に教えてもらい、より効果的な害獣対策をしたいですね。
すでに免許を持っていて、器具を借りたい
狩猟免許をすでに持っていて自身で害獣駆除ができる状態の人は、市役所で器具を借りると個人で器具を所有せずに済みます。
補助金など手続き関係について知りたい
手続き関係の情報を確認しておきたい人は市役所に相談しましょう。害獣駆除には補助金など様々な申請手続きが必要です。必要書類など正しい情報を知っていると、よりスムーズに申請できます。
業者に連絡するのがおすすめのケース
以下に該当する人は業者に連絡、相談するのがおすすめです。
即日対応してほしい
すでに害獣の被害が出ていて困っている人は、業者に連絡するほうが早期の解決が期待できます。24時間相談を受け付けている業者もあります。
駆除後の回収や消毒も頼みたい
害獣の駆除後、害獣の回収や周辺の消毒をしてもらいた場合は業者に依頼しましょう。清掃だけでなく、害獣により破損した家の修繕についても相談できる業者もありますよ。
アフターサービスを受けたい
何度もやってくる害獣への対策を考えたい人は、アフターサービスに応じてくれる業者への相談を検討しましょう。害獣駆除は一度行えばその後ずっと安心かというと、そうとは言い切れません。再度、害獣による被害があっても、相談する先が決まっていると安心できますね。
害獣駆除で困ったとき市役所の対応には限度がある
害獣駆除に関して、市役所では対応に限度があることがわかりました。市役所に実際の駆除は依頼できず、即日対応は難しいようです。市役所でできるのは害獣駆除の相談まで。害獣駆除業者や自分でできる害獣対策の情報を教えてもらうことはできます。補助金などの手続き関係も市役所に確認してみましょう。
害獣駆除への対応が早いのはやはり専門業者です。ご自身の害獣被害の状況や段階に合わせて、まず市役所に相談するのか、もしくは急いで業者に見積を依頼するのかを検討してみてください。