エアコンを使用しているときに、『室外機の下が水びたしになっている』『ドレンホースが以前よりもボロボロに劣化している』といった症状に気づいたことはありませんか?
それはもしかすると、エアコンの重要な排水部品であるドレンホースの劣化や、内部がつまっているサインかもしれません。ドレンホースは、エアコンにとって欠かせない重要なパーツです。
この記事では、ドレンホースが劣化する原因や交換時期をはじめ、交換にかかる費用、長持ちさせるための日々のメンテナンスのコツまでわかりやすく解説します。
ぜひ、ドレンホースのメンテナンスに役立てて、より安心してエアコンを使用できるようにしましょう。
エアコンのドレンホースの役割

夏の暑さや冬の乾燥から、快適な生活空間を提供するエアコン。もはや現代生活に手放せない家電製品といえるでしょう。
その心地よい室内環境を維持するために、目立たないながらも非常に大切な役割を担っているのが『ドレンホース』です。
エアコンが冷房運転をしているとき、室内の空気は内部の熱交換器で冷却されます。この冷却の過程で、空気中に含まれる水蒸気が凝縮し、水滴となって熱交換器やドレンパンに集められているのです。
これは、冷たい飲み物の入ったグラスの表面に、水滴が付着する現象と同じ仕組み。もし、室内機にたまった結露水が屋外に排出されなければ、エアコン内部にたまり続け、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。
そのため、ドレンホースがドレンパンにたまった結露水を、屋外へと排出する役割を担っているのです。ドレンホースはエアコン室内機とつながって屋外にのびているパーツです。
通常は建物の壁面や地面へと続いています。
このドレンホースが正常に機能しているかどうかで、エアコンの快適な使用と長期的な維持に大きく関わってくるのです。
ドレンホース劣化の原因とトラブル

ドレンホースは、エアコン室内機内の水分を屋外へ排出するのに欠かせないものです。しかし、その設置場所において、常に過酷な環境にさらされていることは否めません。
たとえば、夏場の強い紫外線や梅雨時期の長雨、台風による暴風、さらに冬の厳しい寒さという自然の猛威を直接受けることになります。
ここでは、エアコン本体に悪影響をおよぼす劣化やトラブルについて、みていきましょう。
紫外線や気候による劣化
紫外線はドレンホースを徐々に劣化させます。長期間にわたって紫外線を浴び続けると、硬化してもろくなり、ひび割れや亀裂ができてしまうのです。
そして台風のような強風時には、ドレンホースが物理的に損傷を受けるリスクも高まります。
これらの損傷は排水機能の低下を招き、最悪の場合、エアコンが正常に稼働しない原因になりかねません。とくにプラスチック製のホースは、平均して3〜5年ほどで劣化します。
ドレンホースのつまりによる水もれ
ドレンホースがつまると、うまく排出できずに水もれします。おもな要因は以下の2点です。
- 雨水や虫がホース内部に入り、ホコリやゴミと混ざりあって排水経路をつまらせる
- 風で運ばれた落ち葉や砂などが出口付近に積もってスムーズな排水を妨げる
これによって、室外に水が流れずに逆流してしまうのです。その結果、室内機から水がたれてきたり、壁や床がぬれたりするトラブルになります。
冷房が稼働する梅雨から夏場にかけては、エアコンの結露水が増えるため、つまりによるトラブルが増加しやすい時期です。
カビ発生による悪臭
カビによる悪臭もよくあるトラブルのひとつ。エアコンの室外機からのびる排水ホース内部は、屋外への排水がうまくできずに水がホース内にたまると、カビが繁殖しやすい環境になります。
いったんホース内部でカビが繁殖すると、その胞子がエアコンの運転中に室内の空気中に放出されてしまうのです。
不快なにおいの原因となるだけでなく、アレルギー症状も引き起こすなど、健康にもさまざまな悪影響を引き起こすリスクも見逃せません。
ドレンホースの交換タイミングと費用相場

ドレンホースのメンテナンスのタイミングがわからずに長年放置すると、エアコンの故障につながりかねません。そのようなことにならないように、どのような状態の場合に交換の判断をすればよいのかを知っておきましょう。
ここでは、ドレンホースの寿命や交換判断、交換にかかる費用、どこの業者に依頼したらいいのかをお伝えします。
ドレンホースの寿命はどのくらい?
一般的に、ドレンホースの寿命は3〜5年といわれています。ホースのひび割れや亀裂、変形や変色などの症状があれば、寿命のサインです。交換タイミングの判断は以下を参考にしてください。
<ドレンホースの交換タイミングの判断>
状況 | 備考 |
ホースがひび割れている | 紫外線や経年劣化によるもの。排水がもれる |
テープがはがれてホースがむき出しになっている | ホースの劣化が進行しやすくなる |
水が排出されていない | ホース内部のつまり、折れ・逆勾配の可能性 |
エアコンから変なにおいがする | 排水がたまり、カビが発生している可能性 |
ホースの根元から水ぬれしている | 差し込み不良やホースの破損が考えられる |
ドレンホースはメンテナンスが必要。このような症状が見られたら、早めに交換しましょう。
ドレンホース交換にかかる時間と費用相場
室外機のドレンホースを交換するのにかかる時間は、自分でやる場合と業者に依頼する場合とで異なります。
ドレンホース交換にかかる時間と費用相場
自分で交換 | 所要時間:30分〜1時間ほど 費用目安:500円〜1,500円(部材代のみ) |
業者に依頼 | 所要時間:15分ほど 費用相場:5,000〜10,000円 |
なお、業者に依頼するときに、高所での作業や配管が複雑なケースは、追加費用(2,000〜4,000円)が発生する場合もあります。
一般的にホースやテープなどの部材費込みになっているところが多いですが、事前に見積もりを確認しましょう。また、業者によっては出張費用が無料のところもあるので、あわせて確認しておくと安心です。
ドレンホース交換を業者に依頼する場合
エアコンのドレンホース交換は、自分でもできます。しかし、2階以上の高所外壁に室外機がある場合は、安全面の観点から業者に依頼するのが無難でしょう。
ドレンホース交換サービスに対応しているところは、いくつかあります。
- エアコン取付業者(工事専門)
- 家電量販店(ヤマダ・ケーズ・ノジマなど)
- 住宅設備の修理業者
- エアコンメーカーのサポート窓口
ネットで検索すれば、近くの出張対応業者を探せるので、ぜひ活用しましょう。
自分でドレンホースを交換する方法

自宅の庭やベランダに室外機がある場合は、ドレンホースを自分で交換したいですよね。この章では、自分で交換する場合に用意するパーツや手順、注意点を説明していきます。
ぜひ、参考にしてください。
交換に必要なパーツ
ドレンホースを交換する際には、以下のアイテムを準備しておきます。
- 新しいドレンホース(直径14mmが一般的)
- カッターまたはハサミドレインジョイント(ホース同士をつなぐ部品)
- 配管用テープ(防水性の高いもの)
上記は、すべてホームセンターやネット通販で入手可能です。新しいドレンホースは、長さに余裕を持って購入しましょう。
ドレンホース交換の手順
まずは安全のために、必ずエアコンのコンセントを抜いて作業しましょう。ドレンホースの交換手順は、以下を参考にしてください。
ドレンホース交換手順
手順 | 作業内容 |
配管テープをはがす | 露出配管のドレンホースとVA線は配管テープでぐるぐる巻きにされていることが多いため、カッターで丁寧にはがす。 |
古いホースを取り外す | 配管テープをはがしたら既存のドレンホースが見えるので、劣化した古いホースをハサミでカットして取り外す。ジョイントで接続されている場合はジョイント部分から手で取り外す。 |
新しいホースを取り付ける | 接続部にジョイントを使ってホースをしっかり差し込み、テープで固定する。この際接続部分に配管用粘着テープを3~4周ほどぐるぐる巻きにして、すき間を作らないように手でにぎって圧着させる。 |
排水を意識してホースを設置する | 排水がスムーズに行えるよう、ホース先端は必ず下向きに設置する。また、宙に浮かせた状態で長さ調整を行い、床から5cm以上離したところでハサミやカッターを使って切断する。 |
排水できているか確認する | コップ1杯分の水を流して、排水口から水がスムーズに排出されるかを確認する。 |
ポイントは、新しいテープを多めに巻いて、すき間を作らないように圧着させることと、交換したホースは宙に浮かせた状態で設置することです。
水もれの予防や害虫の侵入とゴミによるドレンホースのつまり防止にもなるので、ぜひやっておきましょう。
ただし、自分で交換しても状態が変わらないときは、ドレンホース以外に原因が潜んでいる可能性があるかもしれません。エアコンの状態を悪化させないためにも、業者にお願いするのが安心です。
交換するときの注意点
ドレンホースを交換するときには、以下の点に注意します。
- ハサミやカッターで配管テープをはがすときは、冷媒管に刃が当たらないようにする
- ホースの出口は必ず下向きに設置し、正常に流れるように勾配を保つ
- ホースの途中に折れやねじれがないようにする
- 室内側がつまっている場合は、掃除機で吸引するなど取り除いてから交換する
また、2階以上の高所での作業は危険を伴います。室外機が高所にある場合は、無理せずに業者に依頼しましょう。
エアコンのドレンホースを長持ちさせる方法

エアコンのドレンホースは、定期的な交換が必要な部品です。とはいえ、できるだけその頻度を減らしたいですよね。それにはメンテナンスをしっかりするのがポイントです。
ここでは、ドレンホースを長持ちさせる方法を紹介します。どれも簡単にできることなので、ぜひやっておきましょう。
紫外線に強い素材やカバーをつける
紫外線対策は、ホースの劣化を遅らせるのに役立ちます。最大の敵である紫外線や雨風から、しっかり対策しておきましょう。
効果的な対策としては、ドレンホース本体に紫外線防止素材で作られたカバーを取り付けたり、紫外線カット効果のあるテープを巻いて保護する方法が挙げられます。
これで紫外線が直接ホースに当たるのを防ぎ、劣化の進行を遅らせられるのです。
さらに、より根本的な対策として、耐久性の高い塩化ビニール(PVC)などの素材で作られたホースに交換することも有効な方法です。
塩ビ素材は、一般的なプラスチックよりも耐候性に優れており、紫外線や雨風による劣化の影響を受けにくいという特性を持っています。
長期的な視点で見れば、ドレンホースメンテナンスの手間を軽減することにつながるでしょう。
害虫対策のキャップをつける
ドレンホースの先端に、防虫キャップを取り付けましょう。ドレンホースは、室内機にたまった結露水を屋外へ排出する経路。
その先端は外部に露出しているため、この開口部からゴキブリをはじめとする害虫が侵入しやすくなります。
ドレンホース内部に侵入してしまうと、排水経路がつまり、水もれの原因となるだけでなく、害虫の死骸や排泄物が悪臭を発生させるなど、衛生的な問題を引き起こすこともあります。
これらの害虫の侵入を防ぐための有効な対策として、防虫キャップの設置は有効です。市販の防虫キャップは、ドレンホースの先端に簡単に取り付けられ、物理的に害虫の侵入を遮断する役割を果たします。
網目状のものや弁が付いているものなどがあるため、害虫の種類や設置場所にあわせて選びましょう。
エアコンのドレンホースを適切に交換して快適に使おう
ドレンホースは、室内の余分な水分を屋外へ排出するパーツです。エアコンの快適な運転を維持するうえで極めて欠かせない役割があります。
このホースの劣化やつまりを放置すると、予期せぬ水もれや最悪の場合にはエアコン本体の故障といった深刻なトラブルにつながってしまいかねません。
そのため、3〜5年ごとを目安にメンテナンスや交換を行うことが大事になってきます。定期的な点検は、ドレンホースを紫外線や雨水、虫から守り、トラブルを未然に防ぐことにつながるのです。
そうでなくても「室外機の下がぬれている」「ホースがボロボロになっている」ことに気づいたら、早めの対応を心がけ、エアコンを快適に使いましょう。