害虫駆除についてどこに相談すればよいのか考えたとき、「市役所」を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。市役所は相談の対応はしてくれますが、実際の駆除作業は行わないケースがほとんどです。
本記事では、市役所での害虫駆除相談について詳しく解説していきます。また、自分でできる効果的な対処方法や害虫駆除業者選びのポイントまで紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
害虫駆除を市役所に相談すると?

害虫の被害に遭った際、市役所への相談を検討する人は少なくないでしょう。市役所では担当する課が窓口となり、相談を受け付けることが一般的です。具体的な対応については地域によって異なります。
例えば、東京都大田区では、生活衛生課環境衛生担当にて、ネズミやダニ、シラミ、蚊などの害虫駆除の相談を受け付けています。また、品川区では防災まちづくり事業部に相談することが可能です。
市役所は害虫駆除をしてくれないことが多い
市役所では、直接的な駆除作業を行うケースは極めて限られているのが現状です。市役所は基本的に害虫駆除の相談や申請を受け付ける窓口としての役割を担っており、実際の駆除作業は行わない傾向にあります。
一部の自治体では、捕獲器の貸し出しや駆除業者の紹介といった対応をしてくれる場合もあります。対応内容は市役所によって異なるため、居住地域の市役所のホームページ等で確認しましょう。担当部署に窓口が設置されているケースもありますが、基本的には相談業務が中心となっています。
市役所が害虫駆除をしてくれない理由
市役所が害虫駆除を実施しない主な理由は、行政機関としての業務範囲に害虫駆除が含まれていないためです。市役所の役割は、害虫駆除に関する許可申請の受付や相談窓口としての機能が中心となっています。
また、市役所では害虫駆除に必要な予算を確保できない状況にあり、専門的な駆除作業を行うための体制も整っていないことが多くあります。行政機関である市役所は、民間の専門業者とは異なる役割を担っているため、高品質な駆除サービスを提供することも難しい状況といえるでしょう。
保健所は対応してくれる?
保健所では、公衆衛生に関わる深刻な害虫被害について対応してくれる場合があります。感染症を媒介する可能性がある害虫の発生や、地域全体に影響を及ぼす規模の被害については調査を実施することも考えられます。
ただし、一般的な害虫被害については、市役所同様に直接的な駆除作業は行っていないのが現状と考えてよいでしょう。
品川区では、もし自宅でスズメバチが発生した場合、品川区保健所に相談できます。詳しくは品川区のホームページをチェックしてみてください。
害虫駆除に関して市役所が対応してくれることは?

市役所では実際の駆除作業を行うことは少ないですが、さまざまな形でサポートをしてくれます。相談者の状況に応じて、以下のような対応があります。
- 駆除方法や対策のアドバイス
- 防護服や噴霧器の貸し出し
- 害虫駆除業者の紹介
- 駆除の許可
- 助成金などの支給
それぞれ説明していきましょう。
駆除方法や対策のアドバイス
市役所では、個人で実施可能な駆除方法や被害対策について具体的なアドバイスを提供しています。害虫の種類に応じた効果的な対策方法や、ホームセンターで入手できる駆除用品の選び方などの情報を教えてくれるでしょう。
また、各家庭の状況に応じた具体的な駆除手順や、おすすめの対策グッズについて紹介してくれることもあります。
防護服や噴霧器の貸し出し
一部の市役所では、害虫駆除や害獣駆除に必要な捕獲器や防護服の貸し出しサービスを実施しています。捕獲器は1万円前後、防護服は数万円以上する高額な製品も多いため、無償または低額で貸し出してくれるのは自治体ならではのサービスといってよいでしょう。
ただし、貸し出し可能な自治体は限られており、利用には事前の申請が必要となる場合が一般的です。貸与期間についても期間が設けられており、市役所によって異なるので事前に確認しましょう。
なお、野生動物の捕獲には狩猟免許が必要となるケースもあるため、具体的な利用条件についてはあらかじめ相談しておくことが望ましいといえます。
害虫駆除業者の紹介
市役所では直接的な駆除作業は行わないものの、地域の害虫駆除業者を紹介してくれる場合があります。市区町村と契約関係にある地域の業者が紹介先となることが多いでしょう。
ただし、市役所からの紹介だけを判断基準にするのは適切ではありません。業者によって料金体系やサービス内容が大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取得して比較検討することがおすすめです。
中には不適切な作業を行う業者も存在するため、口コミ評価なども参考にしながら選択しましょう。
駆除の許可
ネズミ以外の野生の鳥獣の捕獲および駆除をする際は、鳥獣保護管理法に基づく市役所の許可が必要となります。
許可申請には「鳥獣の捕獲等許可申請書」「実施者名簿」「捕獲場所がわかる図面」などの書類を提出する必要があります。同法は鳥獣の保護と管理を目的としており、無許可での駆除は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となる可能性があるので注意が必要です。
申請書類には捕獲を行う人の個人情報や、捕獲の目的、期間などの詳細な情報を記載しなければいけません。許可が取得できれば、罠の設置などによる合法的な駆除作業が可能となります。
助成金などの支給
自治体によっては、害虫駆除にかかる費用の一部を助成金や補助金として支給する制度を設けています。助成金の内容や支給額は自治体ごとに規定が異なるため、事前に確認しておきましょう。
例として、以下のような助成金を支給できる市役所があります。
市役所 | 助成金の名称 | 内容 |
富山県射水市 | 害虫防除補助金 | 自治会・町内会で実施する害虫防除に対し、補助 |
神奈川県鎌倉市 | 鎌倉市スズメバチの巣駆除費補助金 | スズメバチの巣の駆除費用の一部を補助 |
新潟県燕市 | 薬剤購入補助金 | 自治会内の衛生害虫駆除事業に係る薬剤購入の補助 |
福岡県嘉麻市 | スズメバチ駆除費補助金 | 市民生活の安全を脅かすスズメバチの巣を業者に委託して駆除する方に、予算の範囲内でその費用の一部を補助 |
愛媛県宇和島市 | スズメバチ等駆除費補助金 | スズメバチ等の巣の駆除に要する費用に対し、予算の範囲内で補助 |
ただし、多くの場合、個人宅での被害は補助対象外となっており、農地など広範囲に及ぶ被害に対して支給されるケースが一般的です。制度の利用を検討する場合、まず自治体の窓口で相談してみましょう。
市役所に害虫駆除を相談する際の注意点

市役所への相談時には、いくつかの注意点を把握しておく必要があります。主なポイントを3点紹介します。相談時の状況によって対応が異なる可能性もあるので、注意しておきましょう。
対応に日数がかかる
市役所での害虫駆除に関する手続きは、申請から実際の対応まで一定の時間を要することがほとんどです。担当する課での受付から順番待ち、相談、許可や紹介の連絡まで数日間かかるのが一般的でしょう。
また、捕獲器の貸し出しや駆除業者の紹介についても、即日対応は難しく、手続きに数日を要する場合がほとんどです。さらに、市役所の窓口は土日祝日が休みであるため、平日の受付が必要となります。緊急性の高い害虫被害への即時対応は困難なため、時間に余裕を持った相談をしましょう。
信頼できる業者を紹介してくれるとは限らない
市役所から紹介される害虫駆除業者は、自治体と契約している地域の業者であることが多いでしょう。市役所からの紹介というだけで信頼性を判断するのは適切でないこともあります。
中には不適切な作業や不当な料金請求を行う業者も存在するため、費用やサービス内容を自身で確認することが重要です。
引き取りや処分に対応してくれない
害虫や害獣は体内にウイルスやダニ、寄生虫などが存在する可能性があるため、捕獲後の適切な処理が重要となります。しかし、市役所から捕獲器を借りて害虫を捕獲しても、多くの自治体では回収や処分には対応していません。
害獣の処分には原則として免許が必要となるため、個人での対応は法律違反となる可能性があります。捕獲器の設置や返却は利用者の責任であり、捕獲した害獣の処分については、専門の資格を持つ業者へ依頼しましょう。
害虫駆除業者を選ぶポイントは?

害虫駆除業者への依頼を検討する際は、以下の観点から業者を選ぶようにしましょう。信頼できる業者を見つけるためのポイントを確認していきます。
料金は適正か
駆除作業の料金設定が適切であるかどうかの確認をしましょう。作業内容や規模に応じて、明確な料金体系があるか確認が必要です。見積もり時には、追加料金の有無についても確認しておきましょう。
作業内容は充実しているか
駆除作業の内容が充実しているかどうか確認しましょう。また、駆除作業の具体的な内容や手順について、詳しい説明をしてくれる業者を選ぶこともおすすめです。
予防対策や再発防止のためのアドバイスまで含めたサービスを提供している業者や、害虫や害獣の回収、作業後の清掃や消毒まで行ってくれる業者もあります。作業後の保証内容についても確認しておくと安心です。
信頼できる実績があるか
業者の経験年数や施工実績など、信頼できる実績があるかどうか確認しましょう。地域での活動実績が豊富な業者や、各種認定を取得している業者などが見分けるポイントといえます。専門的な知識や技術を持つスタッフが在籍していることも確認しておきたい点といえるでしょう。
アフターフォローはしっかりしているか
一定の保証期間を設定し、充実したアフターフォローがある業者を選ぶことがおすすめです。保証のない業者の中には意図的に不十分な作業を行い、再発を誘発させる事例も報告されています。
ただし、保証内容は同一個体や同一侵入経路による被害に限定されることが一般的です。新たな被害や異なる場所からの侵入は保証対象外となる可能性が高いため、保証の適用範囲を事前に確認しておきましょう。
口コミや評判はどうか
過去の利用者からの評価や口コミ情報を参考にしましょう。インターネット上の評価だけでなく、地域での評判も重要な判断材料になるかもしれません。ただし、極端な評価に惑わされず、総合的に判断することが必要です。
害虫駆除を自分でする方法

専門業者への依頼が難しい場合や、ゴキブリなど軽度の被害であれば自己で駆除するのも一つの方法です。適切な方法で駆除作業を行うことで、効果的な対策が可能になります。安全面に十分注意を払いながら、正しい手順で作業を進めることが重要です。
害虫に適した薬剤を選ぶ
害虫の種類によって効果的な薬剤が異なるため、適切な薬剤を選ぶことが必要です。使用方法や注意事項を確認し、安全に配慮した薬剤を使用しましょう。人体や環境への影響も考慮して、薬剤を選択することも重要です。
適切なタイミングで行う
害虫駆除の実施時期は、害虫の種類や生息環境によって大きく異なります。一般的にゴキブリは春から初夏にかけて、ハチは夏前から対策を開始するなど、害虫の活動時期に合わせた対応が効果的だといわれています。
また、使用する薬剤の効果持続期間を考慮し、計画的な駆除スケジュールを組むことも重要です。適切な駆除時期の判断が難しい場合は、専門業者に相談することで効果的な駆除計画から再発防止策まで、総合的なアドバイスを受けることも検討しましょう。
日頃から予防しておく
害虫の被害に遭わないためには、日頃から予防しておくことが重要です。害虫の予防には、清潔さを保つことと環境改善が有効です。
害虫は食べ物の残りかすやゴミに誘引される性質があり、湿度の高い環境を好む傾向にあります。キッチンやダイニングエリアの清掃、食材の密閉保管、適切な湿度管理などの基本的な対策をしておきましょう。
浴室や洗面所、下駄箱など湿気がこもりやすい場所は、定期的な換気や乾燥が有効な対策になります。また、ベランダや庭の環境整備も重要で、ゴミや雑草の放置は避けましょう。
さらに、部屋の隅や家具の裏、シンク下など、害虫が潜みやすい場所の定期点検を行うことで、早期発見と対策が可能です。忌避剤など予防的に薬剤を使用する際は、害虫の特性に適した製品を選択し、安全な使用方法を厳守するようにしましょう。
害虫駆除について市役所が対応してくれることを知っておこう
害虫対策について、市役所での対応内容について解説しました。駆除に関するアドバイスや捕獲器・防護服の貸し出し、助成金などのサポートを受けられる場合がありますが、実際の駆除には対応していないケースがほとんどです。市役所によって対応内容に差があるため、まずは居住地域の自治体に相談してみましょう。
専門の害虫駆除業者に依頼する場合は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。自分で駆除ができるケースもありますが、確実な駆除や消毒などは個人では難しい場合もあります。必要に応じて、専門業者への依頼を検討するとよいでしょう。