近年、DIYの人気や電気自動車への関心の高まりなどの理由から、屋外コンセントの増設を検討する人が増えています。屋外で使えるコンセントが増えることで、より快適に便利に生活できるようになります。
屋外コンセントの増設にはどれくらい費用がかかるのか、どのようなことに注意すればよいのか、自分で増設することはできるのかなど、知っておきたい情報をまとめました。屋外コンセントの活用例も紹介するのでぜひチェックしてください。
屋外コンセントを増設したい人が増えているのはなぜ?

近年、生活スタイルの変化に合わせ屋外コンセントのニーズが高まっています。例えば、人気が高まっているDIYでは、屋外で電動ドリルなどの工具を使う機会が出てきます。その際、必要な場所に電源があると作業効率が上がり便利です。
ガーデニングでは電動の芝刈り機や耕運機などを使用することもあるでしょう。その他、洗車や壁の洗浄で高圧洗浄機を使用するときにも屋外コンセントの必要性を感じる人は多いのではないでしょうか。
また、庭でのバーベキューではコンセントタイプの虫よけや、ホットプレート、ケトル、スピーカーやプロジェクター、小型の冷蔵庫をなどを使いたいときにもコンセントがあると便利です。
クリスマスシーズンに屋外にイルミネーションを設置する家庭は、手軽に電力が供給できるコンセントが必要です。また、電気自動車への関心も高まっており、将来的に充電ニーズが高まってくることも予想されます。
屋外コンセントを増設するには

屋外コンセントを増設する際に、知っておきたい項目を確認しておきましょう。
屋外コンセントはDIYで増設できる?
屋外コンセントの増設は、素人がDIYで行うことはできません。作業には「電気工事士」の資格が必要で、無資格での電気工事は法律で禁止されています。
電気工事は感電、漏電、火災などの重大な事故につながる危険性があり、危険を伴います。有資格者であっても、屋外での作業には天候や周囲の環境に配慮した安全対策が欠かせません。
わずかな配線ミスでも重大な事故を引き起こす恐れがあるため、たとえ資格を持っていても十分な経験がない場合は、無理にDIYをせず、信頼できる業者に依頼することがおすすめです。
屋外コンセントの増設費用はどのくらい?
屋外コンセントの増設費用は、設置場所の状況やコンセントの種類、工事の方法などにより変動します。費用は「工事費」と「材料費」が主な内訳です。工事費には人件費や作業時間などが含まれます。
材料費はコンセント本体、電線、配管などの費用が含まれ、配線の距離や選ぶコンセントの種類によって変動します。工事が複雑であったり、特殊なコンセントを選択すると追加費用が発生する可能性があることも知っておきましょう。
一般的な方法は、既存のコンセントから分岐して屋外にコンセントを設置する方法で、1万円~2万円程度が目安です。比較的簡単な工事で低電力の用途向けの方法になります。
そして、分電盤から新しく専用の配線を引き、屋外にコンセントを設置する場合は、3万~8万円以上の費用がかかることも。高電力の用途向けの方法で、電気自動車の充電用のコンセント工事などが該当します。
電気自動車の充電に対応する200Vのコンセントなどは、新規の配線と専用のコンセントが必要となり、4万円程度が費用の目安です。
屋外コンセントの分岐と配線の方法を知ろう
上記の費用にも関係する、屋外コンセントの分岐方法と配線についても確認しておきましょう。屋外コンセントを増設するには、主に2つの方法があります。ひとつは既存の屋内コンセントから電源を分岐する方法、もうひとつは分電盤から屋外コンセント専用の回路を新たに設ける方法です。
既存の屋内コンセントからの分岐は、比較的簡単な工事で済み、所要時間は1時間程度、費用も抑えられます。ただし、既存の回路が許容する電力を超えてしまうと、ブレーカーが落ちるリスクがあるため、接続予定の電気製品の消費電力を事前に確認しておく必要があります。
一方、分電盤から専用回路を設ける方法は、より大がかりな工事になりますが、大きな電力を必要とする機器にも対応できるため、安全性が高いという点がメリットです。
この方法では、分電盤に空きブレーカーがあるかを確認し、必要に応じてブレーカーを増設。屋外コンセントまで専用の配線を引きます。場合によっては、室内に露出配線が見える、あるいは外壁に配管が設置されることもあります。
屋外コンセントの増設で後悔しないためのチェックポイント

屋外コンセントを増設する際に、「こんなはずじゃなかった!」と後悔することのないよう、対策しておきたい項目をチェックしてみましょう。
屋外コンセントの取り付け場所
屋外コンセントの増設では、コンセントの取り付け位置をよく考えて決めましょう。増設したコンセントを活用してどのようなことを叶えたいのか、やりたいことを思い浮かべてみてください。やりたいことに適した場所を考え、コンセントの取り付け位置を決めていくのがおすすめです。
屋外コンセントの種類
屋外コンセントにはさまざまな種類があります。例えば、防水仕様のコンセントや漏電遮断器(GFCI)付きのコンセントは、感電のリスクを軽減でき、水回りや雨がかかる場所での使用に適しています。
そのほかにも、プラグが抜けにくい「抜け止め式コンセント」や、不使用時にカバーで保護できるタイプもあります。電気自動車の充電など高出力の機器を使用する予定がある場合は、100Vか200Vのコンセントの設置を検討するとよいでしょう。
なお、100Vと200Vではコンセントの形状が異なるため、使用する機器に応じて適切なタイプを事前に確認して選ぶことが大切です。
屋外コンセントの防水対策
屋外コンセントは屋内のものと違い、常に雨や湿気にさらされる環境下にあるため、防水性能の高いコンセントを選びましょう。その際、コンセントと壁の隙間にコーキング処理を行い、水の侵入を防いで漏電や故障のリスクを抑えましょう。
屋外コンセントのセキュリティ対策
屋外コンセントは、室内から見えにくい場合などに、無断使用やいたずらの被害に遭うリスクがあります。鍵付きのカバーなどを検討すると、防犯になりセキュリティ対策になります。
人通りの多い場所、簡単にアクセスできる場所の屋外コンセントには、念のため、防犯を検討すると良いでしょう。
屋外コンセントと外壁の調和
屋外コンセントを取り付ける際には、外壁との調和を考慮するのがおすすめです。色味やデザインなど、外壁や外装の雰囲気を損ねないものを検討してみましょう。スマートさを感じさせるデザインの屋外コンセントカバーもあります。
屋外コンセントが悪目立ちしてしまわないよう、家の外壁になじむ色やデザインのものを探してみてください。
屋外コンセントを増設を依頼するときの業者選びのポイントと流れ

屋外コンセントの増設を業者に依頼する際、どのような業者に頼むとよいのでしょうか。業者選びのポイントと、依頼の流れを確認してみましょう。
電気工事士の資格を持っている
屋外コンセントの増設工事は、電気工事士の資格を持っている業者を選びましょう。安全な工事のために、資格を持っていることは必須条件です。
実績が豊富
屋外コンセントの工事実績が多いかどうかも判断材料になります。ホームページやSNS、口コミサイトなどをチェックして施工実績や評判を確認し、参考にしてみましょう。
現地調査と見積もり
工事前に現地を下見、調査してくれることや詳細な見積もりを提示してくれる業者を選ぶことも大切です。見積もりの内容がわかりやすく、工事費や材料費など費用の内訳について丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
見積もりは数社にお願いし、比較検討できるとより安心です。屋外コンセントの設置場所や希望するコンセントの種類、何に使いたいのかなどを具体的に伝えて見積もりを出してもらいましょう。
不透明な点はないか、納得できる内容かを確認して決めることが大切です。アフターフォローなどについても見積もりの段階で確認しておきましょう。
工事の流れ
一般的な工事の流れは次の通りです。まず業者が事前のヒアリングと現地調査を行います。工事内容、費用について確認し了承した上で契約し、その後、実際の工事が開始され、動作確認・安全確認後に引き渡しとなります。
屋外コンセントを使用するときの注意点と対策

屋外コンセントを使用する際には、気を付けるべきポイントや対策があります。感電などの危険に関する注意点もありますので、確認してみましょう。
屋外コンセント使用時はブレーカー落ちに注意する
屋外コンセントを使う際、よく起きるトラブルは「ブレーカー落ち」です。屋外コンセントに繋いだ電気製品の消費電力が、回路の許容電力を超えるとブレーカーが自動的に遮断されることがあります。
複数の電気製品を繋ぐと、消費電力が合計されるため、回路の許容電力を超えていないかを確認しましょう。もしブレーカーが落ちてしまったら、原因となった電気製品を確認し使用を中止してください。
その後、分電盤のブレーカーをリセットすると復旧できます。原因の電気製品を確認せず、使用を続けたままでリセットを繰り返すと、火災などにつながることがあり危険なので要注意です。
屋外コンセント使用時は感電・漏電対策を行う
屋外コンセントを使用する際には、感電や漏電への対策が欠かせません。漏電とは、電気が本来の経路を外れ、水などを通じて他の場所に流れてしまう現象です。漏電した電気に人が触れると、感電する恐れがあります。
さらに、漏れた電気が金属部分に流れ込むと熱が発生し、ホコリや紙などの可燃物に引火して火災につながる危険性もあります。
ここでは、屋外コンセントを安全に使用するために注意すべき、感電・漏電対策について詳しく紹介するので参考にしてください。
アース接続で感電事故を防ぐ
屋外コンセントの配線では、「アース接続」で感電事故を防ぎましょう。アース線は、漏電が発生した際に電気を逃がし、人体への感電を防ぐ役割を果たしてくれます。
屋外コンセントには必ずアース端子がついています。アース線がある場合は、アース端子にしっかりと接続しましょう。アース線がない場合は専門業者に依頼し、アース工事を行うことを検討してください。
漏電遮断器で漏電を防ぐ
漏電対策には漏電遮断器(GFCI)を設置しましょう。漏電遮断器は、漏電を検知すると瞬時に電気の流れを遮断し、感電事故を防ぎます。分電盤に漏電ブレーカーを設置するか、漏電遮断器付きのコンセントを選びましょう。
屋外コンセント使用時以外はカバーをする
屋外は砂やホコリ、雨風などの影響を受けやすい場所です。屋外コンセントを使用しないときには、カバーを閉じておき、雨風やホコリの侵入を防ぎましょう。漏電・感電防止やコンセントの劣化を遅らせることにもつながります。
屋外で延長コードを使用するときは屋外用のものを選ぶ
屋外で延長コードを使用する際は、必ず屋外用の製品を選びましょう。屋内用の延長コードには防水加工が施されておらず、屋外で使用すると漏電や感電の危険があります。また、延長コードは用途に応じた適切な長さのものを選ぶことが重要です。
長すぎるコードを束ねて使用すると熱がこもり、過熱や火災の原因になるおそれがあります。また、延長コードには許容電流容量があるため、使用する電気製品の消費電力に対応したものを選定することも大切です。
屋外コンセントでタコ足配線は使用しない
一つのコンセントに複数のコードやアダプターを接続して、多数の電気製品を使用する「タコ足配線」。屋外でのタコ足配線は、非常に危険です。屋外では、雨風や湿気の影響を完全には避けられません。
タコ足配線のコンセントやコードの接続部分が濡れてしまうと、漏電や感電のリスクが上がります。また、タコ足配線で複数の電気製品を同時に使用すると、コンセントや配線に過剰な負荷がかかり、発熱や火災の原因となる可能性も。
許容電力を超えてしまうと、ブレーカー落ちの原因にもなります。もし屋外で複数の電気製品を使用したいときはタコ足配線ではなく、分岐ボックスやポータブル電源の活用を検討しましょう。
複数の電源取り出しには分岐ボックスを活用する
屋外で複数の電気製品を使いたいときには「分岐ボックス」が便利です。分岐ボックスを使用すると、一つの屋外コンセントから複数の電源を取り出せます。適切な電気ボックスを選ぶためのポイントをチェックしましょう。
まずは、同時に使用したい電気製品の数を確認します。必要なコンセントの数を備えた分岐ボックスを選びましょう。屋外で使用するため防水機能は必須です。防水機能にはIPと呼ばれる防水のレベルがあるので、設置場所に合わせて選びます。
精密機器などを使用する場合は、ブレーカーやサージ保護機能付きの分岐ボックスを選ぶと安心です。また、据え置き型やポール取り付け型など設置方法や、プラスチックや金属など材質にもバリエーションがさまざまあります。適したものを設置しましょう。
分岐ボックスの他、充電式のポータブル電源という選択肢もあります。工事不要で複数の電源が取り出し可能で、家以外にも持ち出せ、ソーラーパネルがついていれば災害時などにも電気が使えます。
どちらの方法でも接続する電気機器の消費電力は合計されるため、許容電力を超えないように注意が必要です。
屋外コンセントを増設して安全・快適に活用しよう
屋外コンセントの増設を、資格を持たない人が施工をすることは禁止されています。安全に関わることなので、資格を持っていても無理は控えましょう。信頼できる業者にきちんと見積もりを取って、安全な施工を依頼してください。
屋外コンセントを増設すると、DIYやバーベキュー、イルミネーションや電気自動車の充電などより便利で楽しく、快適な生活が実現できますよ。屋外での趣味や作業を思いっきり楽しんでくださいね。