照明は、住まいの雰囲気や機能性を大きく左右します。新築やリフォームの際には、適切な照明器具の選択と取り付け工事が重要です。しかし、照明工事の費用はどのくらいかかるのか、ピンと来ない方もいるでしょう。
この記事では、照明取り付け工事に関する費用相場から業者選びのポイント、注意点までを詳しく解説していきます。照明工事を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
照明工事の費用相場
照明工事の費用は、取り付ける照明器具の種類や工事の内容によって大きく変わります。また、住宅の状態や既存の電気設備の状況も費用に影響します。一般的な相場と、費用に影響する要因について説明しましょう。
一般的な照明工事費用の目安
照明取り付け工事の費用は、作業内容や使用する器具によって異なります。一般的には、シーリングライトやペンダントライトなどの基本的な照明器具の取り付け費用は約6,000～14,000円程度です。重量がある器具や補強が必要な場合は、さらに費用がかかることがあります。
費用に影響する主な要因
照明工事費用に影響を与える主な要因として、まず、照明器具の種類が挙げられます。高機能なLEDやデザイン性の高いシャンデリアなどは、通常の照明よりも設置費用が高くなります。
次に、設置環境の複雑さも重要です。既存の配線状況や天井の材質によって作業難易度が変わり、追加費用が発生することがあります。さらに、家の規模や部屋の広さも影響します。大きな住宅では必要な照明数が増え、それに伴いコストも上昇するのです。
照明器具別の工事費用相場
照明器具にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や取り付け方法が異なります。照明器具の種類によって必要な工事内容や難易度が変わるため、費用も変動します。主な照明器具について、費用の相場を見ていきましょう。
ペンダントライト
ペンダントライトの取り付け費用は約6,000～10,000円です。デザイン性が高く、リビングやダイニングで人気の照明ですが、天井の高さや配線状況により費用が変動します。
シンプルな一灯式のペンダントライトであれば比較的安価に取り付けられますが、複数の灯りを持つタイプや重量のあるデザイン性の高いものは、取り付けに技術と時間がかかるため費用が上がることがあります。
シーリングライト
シーリングライトの設置費用は約5,000～8,000円が目安です。多くの家庭で使用される一般的な照明器具で、引掛シーリングがあれば簡単に取り付け可能です。
既存のシーリングライトからの交換の場合は安価に済みますが、引掛けシーリングがない場所に新たに設置する場合は、配線工事が必要になるため費用が高くなります。また、重量のある大型のシーリングライトの場合は、補強工事が必要になることもあり、その場合は追加費用が発生することもあるでしょう。
ダウンライト
ダウンライトの設置費用は、1台あたり8,000～15,000円程度かかります。天井に埋め込むタイプの照明でスッキリとした見た目が特徴ですが、取り付けには天井に穴を開ける作業が必要です。穴あけ作業や配線工事が必要な場合は追加料金が発生することがあります。また、天井の構造によっては追加工事が必要になる可能性も出てきます。
流し灯
流し灯はキッチンなどで使用される照明で、取り付け費用は約10,000～20,000円です。防水性や設置場所によっても費用が異なる場合があります。
流し灯はインテリアのアクセントとしても人気の照明です。壁面や天井に取り付けるタイプがあり、取り付け位置や角度の調整が必要なため、一般的な照明よりも設置に時間がかかることがあります。
間接照明
間接照明の工事費用は1万～10万円程度と費用に幅があり、高額な傾向にあります。天井や壁面に光を反射させるため、デザインや施工内容によって大きく価格が変わります。
壁や天井に専用の棚や凹みを設ける必要がある場合は、別途内装工事費用が発生するでしょう。また、配線工事や調光システムの設置が必要な場合は、追加費用が発生することがあります。
照明電気工事のやり方
照明工事には、DIYで行えるレベルのものから専門業者にしか対応できないものまでさまざまなレベルがあります。安全面や技術面を考慮して、自分でできる範囲を見極めることが重要です。
DIYでできる照明工事
簡単な照明工事であれば、DIYも可能です。具体的には、引掛シーリングへの照明器具の取り付けや電球交換などが該当します。これらは工具不要の場合が多く、初心者でも比較的安全に作業できます。
ただし、配線の変更や天井埋込型の照明設置などは電気工事士の資格が必要です。無資格で行うと感電や漏電の危険があり、法律違反になる可能性もあるため、行わないようにしましょう。安全に不安がある場合は、専門業者に依頼することがおすすめです。
専門業者が対応する場合
天井埋込型や複雑な間接照明などの設置は、高度な技術と資格を持つ業者でなければ対応できません。このような工事は、電気工事士の資格を持った専門家が法令に準拠して行います。
専門業者に依頼した場合、まず現地調査を実施し、天井や壁の構造、既存の電気設備の状態などを確認し、適した工事方法を提案してくれます。状況を確認し、配線作業や器具の取り付けを行い、安全基準に基づいた施工が行われます。
また、施工後には動作確認や保証対応も含まれるため、安心して利用できるのもポイントです。工事後のアフターフォローや保証サービスも提供されることが多く、長期的な安心感も得られるでしょう。
照明工事を専門業者に依頼するメリット
照明工事を専門業者に依頼することにはさまざまなメリットがあります。主なメリットを5点、解説していきましょう。
安全性の確保
照明工事を専門業者に依頼するメリットの一つめは、安全性が確保されることです。電気工事には感電や火災のリスクが伴います。専門業者は電気工事士の資格を持ち、安全に配慮した適切な工事を行う技術と知識を有しています。配線工事が必要な場合や、高所での作業が必要な場合は、安全対策が十分に施された環境で作業が行われるため安心です。
また、専門業者は作業中の事故に備えて保険に加入していることが多く、万が一の際にも対応できる体制が整っています。照明器具の重量に適した取り付け方法や、防火対策など、見えない部分での安全対策も徹底しているのが専門業者のメリットでしょう。安全に関わる工事は、多少費用がかかっても専門家に任せることで、長期的な安心を得ることができます。
高品質な施工
照明工事を専門業者に依頼することで、高品質な施工が挙げられます。専門業者は豊富な経験と専門知識を持ち、照明器具の特性を理解した上で適した取り付け方法を選択します。器具のバランスや角度の微調整、配線の適切な処理など、細部にまでこだわった施工が期待できるでしょう。
複数の照明を設置する場合は、全体のバランスや明るさの調整が重要になりますが、プロの技術があれば理想的な照明環境を実現できるでしょう。また、照明器具の性能を最大限に引き出すための設置方法や、長く使用しても緩みや傾きが生じにくい取り付け技術も専門業者ならではのメリットです。品質の高い施工は見た目の美しさだけでなく、照明器具の寿命を延ばし、将来的なメンテナンスコストの削減にもつながります。
時間と手間の節約
照明工事を専門業者に依頼することで、大きな時間と手間の節約になります。専門業者であれば、スピーディーかつ効率的に作業を進められます。一般家庭では半日以上かかる複数箇所の照明交換も、専門業者なら2～3時間程度で完了することも珍しくありません。
また、工事後の清掃や廃材の処理まで一括して対応してくれることが多く、依頼者の負担を大きく減らすことができます。
アフターフォローと保証
工事後のアフターフォローと保証がある点も、専門業者へ依頼するメリットといえるでしょう。一般的に専門業者は、工事完了後も一定期間の保証を提供しているため、施工に起因する不具合が発生した場合、無償で修理や調整を行ってくれるため安心です。
また、定期的なメンテナンスサービスを実施している業者もあるので、照明設備を長く快適に使用するためのアドバイスも受けられるでしょう。さらに、将来的に照明器具を交換したい場合や追加工事を検討する際にも、以前の工事内容を把握している業者に依頼することで、スムーズな対応が期待できます。
専門的な提案
照明の専門家は、部屋の用途や広さ、天井の高さなどを考慮した上で、適した照明器具やその配置を提案してくれます。照明の組み合わせや省エネ性能に優れた製品についての情報など、自分では気づかなかった選択肢に出会える可能性もあります。
新築やフルリノベーションの場合は、設計段階から照明計画に参加してもらうことで、配線や配置を最適化し、後から大がかりな工事が必要になるといった事態を防げるでしょう。
照明工事業者を選ぶ際のポイント
照明工事の品質や満足度は、依頼する業者によって大きく左右されます。以下のポイントを押さえて業者選びを行うことで、後悔のない照明工事を実現しましょう。
実績と専門性があるか
照明工事業者を選ぶ際は、まず実績と専門性を確認することが重要です。施工実績が豊富な業者は、さまざまな状況や問題に対応した経験があり、予期せぬトラブルにも適切に対処できる可能性が高いでしょう。業者のウェブサイトやパンフレットで過去の施工事例を確認し、自分の希望する照明工事と似たケースを手がけているかチェックします。
また、照明工事専門の業者か、電気工事全般を扱う業者か、リフォーム会社かなど、業者の専門分野によっても得意とする工事内容が異なります。特殊な照明設備の設置や、デザイン性を重視する場合は、その分野に特化した専門業者を選ぶとよいでしょう。
現地調査を実施してくれるか
良質な照明工事業者を選ぶ重要なポイントとして、現地調査を実施してくれるかどうかが挙げられます。優良な業者は、見積もり前に現場を訪問し、天井や壁の構造、既存の配線状況、周辺環境などを詳細に確認します。電話やメールだけで見積もりを出す業者は、工事開始後に「想定外の状況」を理由に追加費用を請求するリスクがあるため注意が必要です。
現地調査の際には、業者の対応や説明の丁寧さ、質問への回答の的確さなども確認ができるでしょう。また、調査時に照明の配置や角度などについて、その場でアドバイスをくれる業者は専門知識が豊富である証拠といえます。
見積もりは適切か
見積もりの内容と金額が適切かどうかも慎重に確認しておきましょう。見積書には、材料費、工事費、諸経費などの内訳が明確に記載されており、何にいくら費用がかかるのかが透明になっています。あまりにも大まかな見積もりや、項目が曖昧なものは追加費用が発生するリスクがあるため避けたほうが無難です。
また、複数の業者から見積もりを取ることで、相場観がつかめるだけでなく、各業者の提案内容や対応の違いも比較検討できます。相見積もりを取ることで、金額の安さだけでなく、内容の充実度や信頼性なども含めて総合的に判断することが可能です。
アフターサービスは充実しているか
照明工事業者を選ぶ際は、アフターサービスの充実度も重要な判断基準です。工事完了後のサポート体制が整っている業者は、長期的な視点でも安心して依頼できます。一般的には1～3年程度の保証期間が設けられていることが多いですが、業者によって大きく異なります。
また、保証の対象範囲も明確に確認することが重要です。施工不良だけでなく、使用部材の不具合にも対応しているかどうかをチェックしましょう。加えて、定期的なメンテナンスサービスを提供している業者であれば、照明設備を長く快適に使用することができるでしょう。アフターサービスの質は、過去の顧客からの評判や口コミを参考にすることがおすすめです。
対応や説明がわかりやすいか
対応や説明がわかりやすいかどうかもチェックするポイントです。初回の問い合わせから見積もり、打ち合わせまでの対応の丁寧さは、工事後のサポートの質を予測する上でも参考になるでしょう。質問に対して明確かつ迅速に回答してくれるか、顧客の要望や懸念を真摯に受け止めてくれるかも重要なポイントです。
また、説明時に図や写真、サンプルなどを用いて視覚的に理解を助けてくれる業者は、コミュニケーション能力が高いといえます。工事の進行状況や変更点についても随時報告してくれる姿勢があるかどうかも確認しておくとよいでしょう。対応や説明のわかりやすさは、技術力と同様に優良業者を見極める重要な要素といえます。
照明工事業者を選ぶ際の注意点
照明工事業者を選ぶ際には、積極的に確認すべきポイントだけでなく、注意しておきたい点も把握しておくことが重要です。トラブルを未然に防ぎ、満足度の高い照明工事を実現するために、業者選びの際の注意点を押さえておきましょう。
無資格者による施工は避ける
照明工事業者を選ぶ際には、電気工事士などの有資格者が施工するかどうかを確認することが重要です。電気工事は法律上、電気工事士の資格を持つ者が行うことが義務付けられています。無資格者による施工は違法であるだけでなく、安全面でも大きなリスクを伴います。
業者を選ぶ際は、第二種電気工事士以上の資格を持った業者に依頼することが不可欠です。
配線や設計図を確認する
工事前に作成された配線計画や設計図は、業者と一緒に確認するようにしましょう。照明の配置や配線ルート、スイッチの位置などが適切かどうかを事前に把握することができます。また、配線図を確認することで、将来的な増設や変更の可能性も検討することも可能です。
図面の提示を拒む業者や、大まかな説明のみで詳細を示さない業者は避けたほうが無難です。また、不明点があればこの時点で質問し、解決しておきましょう。
複数の業者へ見積もりを依頼する
照明工事業者を選ぶ際には、複数の業者に見積もりを依頼することが重要です。最低でも3社程度の見積もりを比較することで、相場感がつかめるようになり、提示された金額が適正かどうか判断できます。
見積もりの依頼時には、同じ条件で複数の業者に依頼することがポイントです。各業者の見積もり内容を比較する際は、単に総額だけでなく、内訳の詳細さや項目の透明性も確認しましょう。また、見積もりの説明時の対応や専門知識の深さも、業者選びの重要な判断材料となります。
口コミや評判を確認する
業者選びでは、口コミや評判を確認することも大切です。インターネット上の口コミサイトや、業者のホームページに掲載されている顧客の声などを参考にすることで、実際の施工品質やサービスの評価を知ることができます。とくに、施工後の対応や不具合が発生した場合の対処法などは、実際に工事を依頼した人からの声が参考になるでしょう。
口コミを確認する際は、良い評価だけでなく、悪い評価にも注目することが重要です。悪い評価に対して業者がどのように対応しているかを見ることで、トラブル発生時の対応力も判断できます。ただし、口コミはあくまで参考情報の一つであることも忘れないようにしましょう。
照明工事について知っておこう
照明工事の費用相場から照明器具別の工事費用、専門業者に依頼するメリットや業者選びのポイントと注意点まで幅広く解説してきました。照明工事の費用は器具の種類や配線状況によって幅があります。照明器具はペンダントライトやシーリングライト、ダウンライトなど種類ごとに特徴と費用が異なることを理解しましょう。
DIYでできる範囲は法律で定められており、引掛シーリングの交換などに限られています。専門業者に依頼することで安全性の確保や高品質な施工、アフターフォローなど多くのメリットが得られるでしょう。業者選びでは実績や資格の確認、複数の見積もり比較が重要です。照明工事を検討する際は、この記事の情報を参考に、計画的かつ安全な工事を心がけてみてはいかがでしょうか。
