玄関の来訪者を確認したり、室内からドア越しにやりとりをしたりと、インターホンは現代の暮らしに欠かせないツールです。そんな便利なインターホンが機能しなくなると、どうしたらいいのか困ってしまいますよね。
この記事では、インターホン故障の症状と原因のほか、自分で修理できるケース、業者への依頼方法などをくわしく解説します。これでインターホンの突然のトラブルにもあわてず、冷静に対処できるようになります。
インターホン故障のおもな症状

インターホンは、日常生活において訪問者の確認や応対に欠かせないもの。しかし、長年の使用や環境的要因によって、さまざまな故障が発生することがあるのです。
ここでは、インターホンのおもな故障症状を3つのカテゴリに分け、それぞれの詳細な症状と考えられる原因を説明します。
インターホンが鳴らない
インターホンのボタンを押してもまったく反応がなく、チャイム音が鳴らないという症状は、故障のなかでもよく報告されるトラブルです。以下のような原因が考えられます。
- 室内機・屋外機のどちらかが故障している
- 電源が入っていない、または配線に不具合がある
- チャイム音を鳴らすためのスピーカーが壊れている
インターホンが乾電池式の場合は、電池の消耗が直接的な原因となることが少なくありません。
インターホンで通話ができない
呼び出し音は鳴るものの、「声が届かない」「相手の音声が聞こえない」という通話機能の不具合も、よく見られる故障症状です。以下の原因が挙げられます。
- スピーカーやマイクが破損している
- 音声をやり取りする回路にトラブルがある
- 湿気などの影響で接触不良が起きている
一方向だけ聞こえる場合や、ノイズが混ざる場合も故障の初期サインです。
インターホンが勝手に鳴る
「誰もボタンを押していないのにチャイムが鳴る」といった現象は、不気味で不安に感じる方も多いでしょう。おもな原因には次のようなものがあります。
- 回路の経年劣化による誤作動
- 湿気・雨水の侵入によるショート
- 電波干渉や雷による一時的なトラブル
このほか、ボタンの一部が埋まって鳴ることもあります。
インターホンが故障する原因

インターホンの不調や故障は、複数の要因が重なって発生することもあります。ここでは、インターホンの故障を引き起こす可能性のある原因を4つ、みていきましょう。
経年劣化による部品の不具合
インターホンの耐用年数は、一般的に10〜15年。そのため、耐用年数を過ぎると故障や不具合が起こりやすくなります。
とくに、熱や湿度、振動などの影響を受けやすい屋外に設置されていると、劣化が進行しやすいもの。以下のケースは注意が必要です。
- 使用年数が10年以上
- 外観に変色やひび割れが見られる
- 通話音質の低下、チャイム音の変調などの前兆がある
定期的な点検に加え、一定年数が経過したら買い替えを検討しましょう。
配線の劣化・断線
インターホンの正常な動作には、屋内外を結ぶ配線が不可欠です。しかし、この配線は、さまざまな要因で劣化したり、損傷を受けたりする可能性があります。
- ケーブルの被覆が破れたり、むき出しになっていたりする
- ネズミや虫によるかじり被害
- 外壁工事や地震などで配線が緩んだり断線したりする
配線トラブルは、見た目にはわかりにくいもの。インターホンの動作が不安定になったり、特定の機能が使えなくなったりした場合は、専門業者に配線チェックを依頼しましょう。
電源トラブル
インターホンは、安定した電源供給があってこそ、その機能を十分に発揮できます。電源に関するトラブルは、動作不良の直接的な原因となるだけでなく、内部部品の故障を招く可能性もあります。
- コンセントが抜けている、または緩んでいる
- 分電盤(ブレーカー)の回路が落ちている
- 電源ユニットの内部基板に不具合がある
通電確認ができない場合は、まずコンセントやブレーカーの状態を確認します。電源ユニットの異常が疑われる場合や、電圧の測定が必要な場合は、電気工事の資格を持つ業者に調査を依頼してください。
異物の混入
屋外に設置されるインターホンの子機は、構造上、さまざまな異物の侵入を完全に防ぐことは困難です。これらの異物が、インターホンの正常な動作を妨げる原因となることがあります。
- 小さな虫の侵入
- 雨水や結露による水分の混入
- ホコリやゴミが通話孔やカメラレンズに詰まる
これらの異物が基板に影響して、ショートや誤作動を引き起こすこともあるのです。故障リスクを減らすためには、防虫キャップの装着や、防水処理などの対策でリスクを下げられます。
インターホンが故障したときの応急措置

インターホンの修理や交換を依頼しても、業者の都合ですぐに対応してもらえるとは限りません。放置すると、留守と勘違いされて訪問者が帰ってしまったり、宅配便を受け取れず再配達になったりと、日常生活に支障をきたします。
そのようなことにならないように、すぐに応急措置を行いましょう。ここでは、簡単にできる方法を2つ説明します。
張り紙や直接連絡をする
予期せぬ訪問者に備えて、インターホンが使用できないことを玄関ドア付近に張り紙で掲示する方法があります。たとえば、「インターホンが故障中です。ノックまたは声をかけてください」などと記しておけば、訪問者も戸惑わずに対応できるでしょう。
また、来客予定がある場合は、事前に電話やメールでインターホンが故障していることを知らせておけば、どちらも安心です。
簡易なチャイムを取り付ける
玄関からのノックや声かけが聞こえにくかったり、訪問者が多かったりする場合は、ワイヤレスの呼び出しチャイムを設置するのも有効な手段。取り付けも簡単で、玄関先に送信機を設置して、受信機を室内のコンセントにさすだけです。
送信機のボタンを押すと、ワイヤレスで接続された受信機からチャイム音が鳴り、来客を知らせてくれます。比較的安価な商品もあるので、一時的な応急処置として役立つでしょう。
また、ワイヤレスチャイムは、インターホンの故障が解消されたあとも、室内での家族間の連絡手段や緊急時の呼び出しツールとして再活用できます。
インターホンの修理や交換は自分でできる?

インターホンが故障したら、「自分で直していいのか」「業者に依頼すべきか」と迷うでしょう。ここでは、インターホンの修理・交換について、自分で対応できる範囲と専門業者に依頼するのが安心なケースを解説します。
自分でできる範囲とは?
自分で交換できるのは、乾電池式やワイヤレスタイプの2種類のみです。交換にあたっては、まず親機の電源プラグを外してから作業しましょう。
専門業者に依頼するのが安心
住宅の電気系統に直接接続された「有線式インターホン」の修理・交換には、「第二種電気工事士」資格が必要です。素人が作業を行うと、違法行為になるだけでなく、感電や火災のリスクがあるのでやめましょう。
インターホンの修理を業者に依頼するには

インターホンの修理を専門業者に依頼する際、どこに連絡すれば良いのか、またどのような点に注意して業者を選べば良いのかについて解説します。
どこに修理を依頼すればよい?
インターホンの修理を依頼できるおもな窓口は複数あります。
- 家電量販店またはホームセンター
- メーカー
- 地域の電気工事会社
家電量販店またはホームセンターなど、インターホンを購入した店舗であれば、修理サービスを受け付けている場合があります。問い合わせしてみましょう。
インターホンメーカーの製品や型番がわかっている場合は、メーカーの修理窓口に直接問い合わせするのが確実です。保証期間内であれば、無償で修理を受けられる場合もあります。まずは、各メーカーのサポートページの確認をしてください。
また、地域に密着した電気工事会社は、インターホンの修理や交換に関する知識や経験が豊富です。インターネット検索や地域の情報誌などで探してみてください。
業者を選ぶポイント
インターホンの修理を依頼する業者を選ぶ際には、以下のポイントを参考にしてください。
確認ポイント | 備考 |
電気工事士資格の有無 | インターホンの設置や配線工事には、電気工事士の資格が必要。資格を持った作業員が在籍しているかを確認する |
実績と評判 | 業者のウェブサイトや口コミサイトなどで、過去の施工事例や利用者の評判を確認する |
見積もりのわかりやすさ | 作業内容と費用の詳細が記載された明確な見積もりを提示してくれるかを確認。追加料金の有無も確認しておく |
保証とアフターフォローの有無 | 修理後の保証期間・アフターフォローの有無を確認しておくと、万が一のトラブルにも対応可能 |
なお、見積もりは2社以上の業者に依頼しましょう。比較検討することで、適正な価格で信頼できる業者を見つけられます。インターネットの仲介サービスを利用するのも、ひとつの方法です。
集合住宅でインターホンが故障した場合

集合住宅でインターホンに不具合が発生した場合、自分の判断で修理や交換を進めてしまうと、トラブルにつながる可能性もあるのでやめましょう。ここでは、集合住宅におけるインターホン故障時の対応手順と、気になる修理費用の負担を解説します。
故障したときの対応
集合住宅でインターホンが故障したら、賃貸か分譲かによって対応が異なります。それぞれどのように対応したらよいのか、違いをみていきましょう。
集合住宅/賃貸と分譲の対応
形態 | 管理主体 | 修理・交換の決定 |
賃貸 | オーナー大家管理会社 | オーナーまたは管理会社が主導して決定 |
分譲 | 管理組合 | 管理組合の理事会や総会で決定 |
このように、それぞれ管理主体が異なるので、賃貸の場合はオーナーまたは管理会社に、分譲は管理組合または管理人に連絡します。
修理費用は誰が負担する?
インターホンが故障した場合の費用負担も、以下のように住宅形態により異なります。
形態 | 費用負担 |
賃貸 | 家賃や管理費に含まれているため、居住者が個人的に負担する必要はない。ただし、居住者の故意・過失による故障の場合は、費用負担を求められる可能性あり |
分譲 | 原則としてマンション全体の工事であれば、管理組合が修繕積立金から負担。専有部分に限定される場合は個人負担となる可能性あり。費用負担については、管理規約を確認し、事前に管理組合に確認しておく |
いずれにしても自己判断せず、インターホンが故障したら、まずは管理主体先に連絡しましょう。あとでトラブルが起きないようにするためにも、大事なことです。
インターホンの故障を防ぐためには

インターホンが故障してしまうと、来客に気づけなかったり、防犯性が損なわれたりして、生活に不便を感じるようになるでしょう。そのようなことにならないよう、日ごろからできる「インターホン故障の予防策」を紹介します。
定期的にテストする
インターホンが正しく動作しているかどうかは、実際に使ってみるのが一番確実です。月に一回は、以下のチェックを習慣にしましょう。
- 呼び出しボタンを押して、チャイムが鳴るか
- 通話ボタンを押して、音声がしっかり届くか
- 映像付きの場合は、映像がクリアに映るか
定期的に点検すれば、小さなトラブルの早期発見につながります。
室外子機にフィルターやカバーをかける
屋外に設置されているインターホンの子機は、雨風や虫、ホコリなど外的要因の影響を受けやすく、故障リスクも高くなります。以下のような対策をしましょう。
- 防虫フィルターを取り付ける
- 雨よけのカバーを設置する
- 本体周辺を定期的に清掃する
とくに防虫フィルターは、小さな虫の侵入によるショートや誤作動を防げるため効果的です。専用のカバーは、ホームセンターやネットでも手軽に購入できます。
落雷があったら異常がないかチェックする
落雷があった直後は、インターホンを含む家電全般に異常が出ることがあります。とくに有線式のインターホンは、雷による過電流やサージ(電圧の急上昇)の影響を受けやすいため注意が必要です。
- チャイムが鳴らなくなった
- 映像が映らない、または乱れる
- 通話音がノイズ混じりになる
このような症状が現れた場合、インターホンの内部回路がダメージを受けているサインかもしれません。外見上は問題がなくても、念のため雷のあとに一度テストしておくと安心です。
ノイズや音質の変化を見逃さない
インターホンの音声に違和感があったら、故障の前兆かもしれません。以下のような変化に気づいたら、注意しましょう。
- 声が聞き取りづらくなった
- 音が途切れる、もしくは反響する
- ノイズや雑音が入るようになった
音声回路やマイク・スピーカーの劣化が原因となっている場合が多いため、早めに点検や修理を行うのが賢明です。劣化の進行を防ぐことで、より長く使用できます。
インターホンが故障したら専門業者に依頼しよう
インターホンの不調は、日常の小さな不便から大きなトラブルにつながることもあります。「鳴らない」「通話できない」「勝手に鳴る」といった症状には、定期的な点検や簡単な予防策を行うことで、故障のリスクを減らすことが可能です。
日々のメンテナンスや確認を心がけることで、トラブルを未然に防ぎ、少しでも異常を感じたら、必要に応じて専門業者への相談を検討しましょう。