蛍光灯は、家庭やオフィスなどさまざまな場所で広く使われている照明器具です。
しかし、長期間使用していると徐々に明るさが低下したり、突然点灯しなくなったりすることがありますよね。蛍光灯の交換は比較的簡単な作業ですが、種類や器具によって手順や注意点が異なります。
本記事では、蛍光灯の主な種類と特徴、交換のタイミングや方法について詳しく解説します。また、近年一般的になっているLED照明の交換や、蛍光灯にまつわる費用相場についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
蛍光灯の主な種類と特徴

蛍光灯は形状や用途によっていくつかの種類に分けられます。それぞれの特徴を理解することで、交換時に適切な製品を選びやすくなります。主な蛍光灯の種類とその特徴について説明しましょう。
直管蛍光灯
直管蛍光灯は、まっすぐな棒状の形をした蛍光灯です。主にオフィスや店舗などの広い空間で使われることが多いですが、家庭の台所やガレージなどでも利用されています。
長さや太さ、ワット数のバリエーションが豊富な点が魅力です。設置場所や器具に合わせて選べます。点灯方式にはグロースターター式、ラピッドスタート式、インバーター式があり、それぞれ対応する器具が異なります。
丸型蛍光灯
丸型蛍光灯は、円形の形状が特徴で、家庭用シーリングライトなど天井照明によく使われています。直管型と比べてコンパクトなスペースにも設置しやすく、均一な明るさを広範囲に届けられる点がメリットです。
サイズやワット数によって複数の種類があり、照明器具ごとに適合する型番が決まっています。一般家庭で最もよく見かける蛍光灯の一つです。
電球型蛍光灯
電球型蛍光灯は、白熱電球と同じ形状を持ち、一般的な電球ソケットにそのまま装着できるタイプです。消費電力が少なく、長寿命で、トイレや廊下、洗面所などの小規模な照明に多く利用されています。
交換も簡単で、従来の電球から省エネタイプへ手軽に切り替えられるのが特徴です。現在はLEDへの置き換えも進んでいます。
コンパクト形蛍光灯
コンパクト形蛍光灯は、直管蛍光灯を折り曲げてコンパクトにした形状の蛍光灯です。ダウンライトやスポットライト、デスクスタンドなど、小型の照明器具に使用されています。2本、4本、6本などの管を組み合わせた構造になっており、小型ながら高い光量を得られるのが特徴です。
蛍光灯交換のタイミングとサイン

蛍光灯は消耗品であり、一定期間使用すると交換が必要になります。以下のサインが出てくるようになったら交換のタイミングです。
- 点滅(ちらつき):
蛍光灯がチカチカと点滅し始めた場合は、寿命が近いサインです。点灯後に明るくなったり消えたりを繰り返す現象が見られたら、早めの交換が必要です。点滅状態で使い続けると、通常の3倍の電気代がかかることもあります。
- 明るさが弱くなる:
以前よりも照明が暗く感じる場合も、寿命の合図です。蛍光灯のガラスは紫外線の影響で透過率が低下し、明るさが落ちていきます。掃除しても元の明るさには戻りません。
- 端部の黒ずみ(アノードスポット):
蛍光灯の端に黒ずみが広がっている場合は、内部の電子源が劣化している証拠です。黒ずみの面積が大きくなったら、たとえ点灯していても交換を検討しましょう。
- 点灯に時間がかかる
スイッチを入れてから点灯するまでに時間がかかる場合も、寿命が近いサインです。とくにグローランプ式の蛍光灯で多く見られます。
これらの症状が見られた場合は、早めに新しい蛍光灯に交換しましょう。
種類別:蛍光灯の交換方法

蛍光灯は種類によって交換方法が異なります。正しい手順で安全に作業を行いましょう。
直管蛍光灯の交換方法
直管蛍光灯を交換する際は、まず照明の電源を切ります。次に蛍光灯を取り外しましょう。蛍光灯を左右どちらかに回転させるタイプと、片側に押し込んで外すタイプがあります。
回転式の場合は90度回して外し、押し込み式の場合は片方を押して取り外します。新しい蛍光灯を取り付ける際は、逆の手順で装着してください。
丸形蛍光灯の交換方法
丸形蛍光灯の場合も、電源を切ってから作業を始めます。まず、照明本体と蛍光灯を接続しているソケットを外し、蛍光灯を支えている金具を外して取り外します。新しい蛍光灯を取り付ける際は、金具とソケットをしっかり接続してください。
電球型蛍光灯の交換方法
電球型蛍光灯は、一般的な電球と同じようにソケットにねじ込んで取り付けるタイプです。交換時は電源を切り、古い蛍光灯を反時計回りに回して外し、新しいものを時計回りにねじ込んで装着します。取り付け後はしっかり固定されているか確認しましょう。
コンパクト形蛍光灯の交換方法
コンパクト形蛍光灯は、ソケットに差し込むタイプが多いです。交換時は電源を切り、右側のランプを手前に動かして外します。新しいランプを取り付ける際は、ソケットにはめて奥に倒し、確実に固定されていることを確認してください。
シーリングライトの蛍光灯交換方法
シーリングライトの蛍光灯を交換する場合は、まず照明の電源を切り、できればブレーカーも落とします。カバーを外し、蛍光灯を支えているフックや金具を慎重に外してから蛍光灯を取り外します。
新しい蛍光灯を取り付けたら、カバーを元に戻し、電源を入れて点灯を確認してください。
蛍光灯からLEDへの交換方法と注意点

蛍光灯からLED照明への交換は、省エネや長寿命など多くのメリットがありますが、器具や配線の仕様によっては工事が必要な場合もあります。LEDへの交換方法と注意点について解説していきましょう。
蛍光灯からLEDに交換するメリット
蛍光灯からLEDに交換することで、いくつかの大きなメリットがあります。まず、消費電力の削減が挙げられるでしょう。LEDは同等の明るさの蛍光灯と比較して約30〜50%の省エネ効果があり、電気代の節約につながります。
また、LEDの寿命は40,000時間以上と、蛍光灯の約4〜6倍です。交換頻度が減るため、長期的にはコスト削減になります。
LEDは点灯してすぐに最大の明るさになるため、蛍光灯のように暖まるまで待つ必要がありません。さらに、蛍光灯に比べて熱の発生が少なく、夏場の室温上昇を抑える効果もあります。
蛍光灯に含まれる水銀などの有害物質を使用していないため、環境にも優しいという特徴があります。
照明の質についても、LEDは色の再現性が高く、目に優しい光である点もメリットでしょう。
直管蛍光灯をLEDに変えるには
直管蛍光灯をLEDに交換する方法は主に3つあります。
1つ目は「工事不要型」と呼ばれるLED蛍光灯です。これは既存のグロー式器具で、蛍光灯と点灯管(グローランプ)をLED管と専用の点灯管に交換するだけで使用できます。
簡単に交換できる利点がありますが、ラピッドスタート式やインバーター式などの器具では使用できません。また、安定器を経由して点灯するため、安定器の劣化による故障リスクや余分な消費電力が残るというデメリットもあります。
2つ目は「配線工事型」で、器具内の安定器のバイパス工事を行い、LEDに直接電力を供給する方式です。
安定器の故障リスクや余分な消費電力がなくなるため長期的な安全性が高まりますが、電気工事士の資格が必要な専門的な作業になります。既存の器具を活かしながら効率的にLED化したい場合におすすめです。
3つ目は「器具丸ごと交換型」で、蛍光灯器具そのものをLED器具に交換します。初期費用は高くなりますが、安全性が最も高く、メーカーや業界団体も推奨している方法です。器具の老朽化が進んでいる場合や将来的なメンテナンスも考慮すると、確実な選択肢といえます。
蛍光灯のLED工事は自分でできる?
シーリングライトや電球型照明は、引掛けシーリングやソケットの形状が合えば自分でLEDに交換できます。しかし直管蛍光灯で安定器のバイパス工事が必要な場合は、電気工事士の資格が必要です。
工事不要と記載されたLED管もありますが、器具との相性や安全性の問題から推奨されないケースもあるため、慎重に判断しましょう。
迷った際には、安全のため、必要に応じて専門業者への依頼を検討するのがおすすめです。
蛍光灯を交換してもつかない場合の原因と対策

新しい蛍光灯に交換したにもかかわらず点灯しない場合、いくつかの原因が考えられます。主な原因と対策を紹介していきます。
蛍光灯の接触不良
蛍光灯が点灯しない場合、まず接触不良が疑われます。蛍光灯やソケットがしっかりはまっていないと電気が通らず、点灯しません。交換後もつかない場合は、一度蛍光灯を外して再度正しく取り付け直すと改善することがあります。
また、取り付け部分に埃やサビが付着していると、これも接触不良の原因になります。ソケット部分を乾いた布で軽く拭いてから蛍光灯を取り付けてみましょう。
蛍光灯や点灯管(グローランプ)の寿命
蛍光灯や点灯管(グローランプ)は消耗品であり、一定時間使用すると寿命を迎えます。蛍光灯の端部が黒く変色していたり、点灯管の内部が黒ずんでいる場合は寿命のサインです。
グローランプ式の場合、蛍光灯と点灯管の両方を同時に交換することで解決するケースが多いです。点灯管の型番にも注意して交換しましょう。
器具と蛍光灯の点灯方式・型番の不一致
照明器具と蛍光灯の点灯方式や型番が一致していないと、正しく点灯しません。蛍光灯にはグロースターター式、ラピッドスタート式、インバーター式などの種類があり、それぞれ対応する蛍光灯が決まっています。
誤った組み合わせは点灯不良や故障、最悪の場合発火のリスクもあるため、器具と蛍光灯の仕様を確認してから交換してください。
器具本体(安定器など)の故障・寿命
蛍光灯を交換しても点灯しない場合、照明器具本体の安定器が故障している可能性があります。安定器は蛍光灯の点灯や明るさを安定させる装置で、長期間使用すると劣化や断線が起こるのです。
異音や異臭がする場合は安定器の寿命が疑われます。安定器の交換や修理には専門的な知識が必要なため、業者への依頼が安全です。
電源や配線の不具合
照明器具に必要な電圧が供給されていない場合や、配線の断線・劣化がある場合も蛍光灯は点灯しません。ブレーカーやスイッチ、電源コードの状態を確認し、異常があれば速やかに修理を依頼しましょう。
とくに古い住宅や水回りでは漏電の危険もあるため、専門業者に相談することがおすすめです。
蛍光灯自体の初期不良
新品の蛍光灯でも、まれに初期不良が原因で点灯しない場合があります。別の新しい蛍光灯で試してみて、同じ症状が出るか確認します。初期不良が疑われる場合は購入店やメーカーに連絡し、交換対応を依頼してください。
蛍光灯交換・LED化の費用相場は?

蛍光灯の交換やLED化には、部品代や作業費用がかかります。おおよその費用相場を把握しておくと、予算の目安になります。それぞれの費用相場と、費用を抑える方法についても紹介しましょう。
蛍光灯交換の費用相場
蛍光灯を業者に依頼して交換する場合、1か所あたりの作業費用は3,000~5,000円が目安です。蛍光灯本体の価格は20W程度で1,000円前後、100W以上なら3,000円程度となります。
依頼する業者や器具の種類によって費用は変動しますが、一般的な家庭用照明ならこの範囲で収まることが多いでしょう。
蛍光灯からLEDへの交換(LED化)費用相場
蛍光灯からLEDに交換する場合、LEDランプ本体は1,000~3,000円程度が相場です。加えて、安定器のバイパス工事などを含めた交換工事費用は1か所あたり3,000~5,000円ほどかかります。
照明器具ごとLEDに交換する場合は、1か所あたり15,000~17,000円程度となるケースもあります。
費用を抑える方法
費用を抑えるには、市町村の補助金制度を活用する方法があります。省エネ推進の観点から、LED化の工事費用の一部を自治体が負担してくれる場合があり、条件や金額は地域によって異なります。
また、適正価格で依頼しやすくするために、複数業者から見積もりを取り、比較検討しましょう。
蛍光灯の交換は安全・確実に行おう
蛍光灯の交換やLED化は、正しい手順と注意点を守ることで安全に行えます。作業前には電源を切り、必要に応じてブレーカーも落としてください。器具や蛍光灯の仕様を確認し、不明な点があれば専門業者に相談することが重要です。
LED化を検討する際は、器具の適合性や工事の必要性を事前に調べておくと安心です。安全で快適な照明環境を維持するためにも、定期的な点検と適切な交換を心がけましょう。