突然スイッチを押しても電気がつかない、戻らないなどの不具合が起きたら、どうすればいいのか困りますよね。そんなときに、電気スイッチ部品を取りそろえているホームセンターで、交換や修理依頼ができたら助かるでしょう。
本記事では、「自分で直せるケース」「プロに頼むべきケース」、その判断基準や費用の目安、ホームセンターで交換や修理を依頼できるのかを解説します。ぜひ参考にしてくださいね。
電気スイッチのよくある不具合と原因

電気スイッチの不具合は、軽い違和感から火災につながる重大トラブルまで幅広くあります。とくに「異音」「熱」「焦げ臭いにおい」は、迅速な対応が必要な危険信号。
ここでは、おもな不具合とその原因について、それぞれ解説していきます。
スイッチを入れても電気がつかない・消えない
スイッチを押してもまったく反応がない、一瞬点灯してすぐ消える、パチッという音はするが照明がつかない・・・。このような症状は、明らかなトラブルのサインです。
電球や照明器具本体の故障
電球や照明器具本体の故障は、もっとも多い原因です。LED電球の寿命切れ、蛍光灯の劣化、照明器具本体の不具合などの症状がおきます。
まずは電球を交換してみて、それでも解消されない場合は、照明器具側の不良の可能性があるかもしれません。電球型照明の場合は、他の場所で点灯するかテストすると有効です。
スイッチ内部の寿命や劣化
スイッチの接点(電気の通り道)が摩耗・劣化し、電流が流れなくなっている可能性があります。押したときの感触がスカスカ、グラグラする場合は、劣化が進んでいるため、スイッチ本体の交換が必要です。
配線の接続不良
スイッチ背面の電線が外れたり、腐食・断線していることがあります。まれにリフォームや家具の移動時に断線することも。配線の確認や修理は、電気工事士の資格を保有している業者に依頼しましょう。
スイッチ内部接点の固着
スイッチ内部の接点が溶着・焼損して、電流が常時流れ続けている状態(ショート)で、かなり劣化しています。このような場合は、すぐにスイッチ交換が必要です。触ったときに熱を持っている場合は、とくに注意しましょう。
スイッチを押しても反応が鈍い・接触が悪い
スイッチを押したのに、照明がつくまでワンテンポ遅れたり、強く押さないと反応しなかったり、点滅したり「ジジジ・・・」という小さな音がしたりすることがあります。
これらの症状は「電気の通り道(接点)」が不安定になっているサイン。放置すると、突然反応がなくなる、あるいは発熱やショートのリスクにつながる可能性もあります。
接点の劣化や摩耗
長年の使用により、スイッチ内部の金属接点が擦れたり酸化したりして、電気の通りが悪くなっています。内部構造の摩耗は修理できないため、スイッチ本体の交換が必要です。
片切スイッチなど、単純な構造であれば自分での交換もできます。
スイッチ背面の配線の緩み・接触不良
スイッチと電線の接続部分がゆるんでいる、あるいは配線にサビや腐食が発生している可能性があります。配線の接続は感電のリスクが大きく、資格が必要な作業です。法律違反になるので、無資格で配線を触るのは避けましょう。
ホコリや汚れの蓄積
湿気の多い場所(洗面所・トイレ・台所など)では、内部に湿気やホコリが入り込み、通電が不安定になることもあります。この場合は、湿気対策された「防水型スイッチ」への交換が有効です。
ただし、水回りは感電リスクもあるため、プロに依頼するのが無難でしょう。
スイッチのバネ・押し込み部分の劣化
スイッチを押す仕組みに使われているバネや機構部分が劣化し、反発力が弱くなっていることが考えられます。分解して修理をするのは難しく、部品交換になることがほとんどです。
スイッチのボタンが沈んだまま戻らない場合は、早めに交換しましょう。
スイッチから異音がする
スイッチを操作したときや、触っていないのに「パチッ」「ジジジ・・・」「カチッ」などの異音が聞こえる場合は、内部で異常が起きているサインです。
「パチッ」「バチッ」という音がする
長年の使用で接点が摩耗・酸化し、スパーク(火花)が起きます。スイッチ内部のバネや機構が劣化によって正常に接触できていないため、スイッチ本体の交換が必要です。
このような症状が進行すると、発熱や焦げの原因になるため注意しましょう。
「ジジジ・・・」という持続的な音がする
照明がついている間や、点灯直前に「ジジジジ・・・」というノイズ音が聞こえる場合、スイッチ内の接触が不完全かつ微弱な放電が起こっている可能性があります。LED照明に対応していない製品を使用していると起きやすい現象です。
一般的な片切スイッチから、パイロットスイッチや絶縁性の高い製品に変えると、一般的には解消されます。
スイッチに触れていないのに「カチカチ」と音がする
自動でオン・オフを切り替える機能付きスイッチの場合、何らかの誤動作でスイッチが勝手に動作して音がすることがあります。タイマーの誤設定や経年劣化による誤動作や、人感センサーの感度異常や故障などが原因です。
一度スイッチの設定を見直し、改善しない場合は本体の交換またはリセットを検討しましょう。
「ジリジリ」「チリチリ」など焦げたような音がする
スイッチ内部でのショートまたは発熱の可能性があり、非常に危険です。内部の配線が焼損しかけている、あるいは長期間ホコリが溜まって湿気と反応し、トラッキング現象を起こしているかもしれません。
すぐにブレーカーを落とし、使用を中止するのが望ましいです。焦げ臭いニオイや熱を感じた場合は、火災のリスクがあるため、すみやかに電気工事業者へ連絡しましょう。
スイッチ本体がグラグラする・壁から浮いている
スイッチを押すと本体が前後左右に動く、壁との隙間ができている、押しづらいなどの状態は、放置すると通電不良やショートが起き、最悪の場合火災につながるおそれがあります。
スイッチ本体を固定しているネジのゆるみ
長年の使用や振動で、スイッチ本体を壁に固定するネジがゆるんでいる可能性があります。作業前にブレーカーを切ってスイッチプレートを外し、壁面のボックスにスイッチ本体をしっかり固定しましょう。
スイッチボックスの劣化・破損
壁の内側にあるスイッチを支える「ボックス」そのものが割れていたり、固定が外れていたりするのは、古い住宅や石膏ボード壁でよく見られる症状です。ボックスが破損している場合は、補修材を使うか、電気工事業者に修理を依頼しましょう。
カバープレートの破損・ずれ
外から見えるプレートが破損したり、歪んではまっていなかったりすることで浮いて見える状態です。プレートが壊れている場合は、ホームセンターで同規格のものを購入して交換します。
スイッチ部分が熱い・焦げ臭いにおいがする
スイッチ部分が熱い、または焦げ臭いにおいがする場合は、非常に危険な状態です。放置すると感電や火災のリスクが高まります。
接点の劣化・焼損
スイッチ内部の金属接点が長年の使用で摩耗・酸化しているため、うまく通電できずに熱を生み、焦げ臭いにおいが発生します。すぐにブレーカーをOFFにし、使用を中止しましょう。
トラッキング現象
長年掃除されていないスイッチ周辺にホコリが溜まり、湿気と反応して通電状態が続き発火や焼損が起こる現象で、感電・火災の一因になります。トラッキング防止カバーの取り付けや、定期的な掃除で対策をしましょう。
自分でできる?電気スイッチ交換や修理の判断基準

電気スイッチの不具合があったとき、「自分で交換できるかな?」と考えるのはごく自然なことです。しかし、電気トラブルの修理は、専門知識と資格が求められることがあります。
そのため、素人が安易に交換するのは、危険が伴うので避けましょう。ここでは、自分で修理や交換ができるかどうかの判断基準と、注意すべき点について解説します。
電気工事士の資格があるか
電気スイッチ本体の交換や増設、配線に触れる修理は、電気工事士の資格が必要です。これは、感電や火災といった重大な事故を防ぐための法律(電気工事士法)で定められています。
無資格での作業は、法律違反となるだけでなく、自身や家族の命に関わるリスクがあるため、やめましょう。
作業内容が「電気工事」に該当するか
作業内容によって、電気工事士の資格がなくてもできるものと、そうでないものがあります。
資格がなくてもできる作業と資格が必要な作業
作業 | 内容 | |
---|---|---|
資格がなくてもできる作業(電気工事に該当しない) | スイッチカバーの交換 | スイッチ本体に触れずに、表面を好みのカバーに交換する |
清掃 | スイッチの隙間に溜まったホコリを掃除機で吸い取る、表面を拭くなど、内部の電気部分に触れない範囲の清掃 | |
ネジの締めなおし | スイッチの取り付けネジがゆるんでいるのをドライバーで締めなおす。ただし、内部の配線に触れないよう、細心の注意を払う | |
資格が必要な作業(電気工事に該当する) | スイッチ本体の交換 | 既存のスイッチを新しいスイッチに取り付ける作業。配線を接続しなおす必要がある |
スイッチの増設・移設 | 新しい場所にスイッチを設けたり、既存のスイッチの位置を変更したりする作業。配線の延長・新設 | |
配線の修理 | スイッチ内部や壁内の配線が断線したときや、ショートしたときの修理 |
自宅の電気スイッチの不具合が電気工事に該当する場合は、快適な生活のためにもすみやかに業者に修理を依頼しましょう。
業者に依頼する不具合の症状
不具合の症状によっては、すぐに専門業者に依頼すべきケースがあります。
すぐに業者に依頼すべき症状
症状 | |
---|---|
焦げ臭いにおいがする | 内部でショートや過熱が起きている可能性があり、発火リスクが高い |
スイッチが熱い | 電気が異常に流れていたり、接触不良で熱が発生していたりする危険な状態 |
異音がする | 「ジー」「バチバチ」といった音は、内部での放電やショートを示唆している可能性がある |
ブレーカーが頻繁に落ちる | スイッチが原因で回路に異常が発生している可能性がある |
これらの症状が見られる場合は、自分で対処せず、ただちにその回路のブレーカーを落とし、専門の電気工事店に連絡しましょう。
ホームセンターで電気スイッチの交換を依頼できる?

一部のホームセンターでは、電気スイッチ交換を業者に依頼可能です。ホームセンターの「リフォーム・住まいのサービス窓口」は、業者を探すきっかけのひとつとして利用できます。
ただし、ホームセンターのスタッフが直接作業を行うわけではなく、提携している電気工事士資格を持つ専門業者が自宅に訪問して交換作業を行うのが一般的です。
電気スイッチ交換を依頼できるおもなホームセンターと対応
おもなホームセンター | 対応 |
---|---|
カインズ | 「カインズスマイルサービス」を利用して、電気スイッチの交換工事が依頼可能 |
コーナン | スイッチを購入すると「コンビニサポート」サービスを通じて取り付け工事が依頼可能 |
コメリ | 照明器具交換サービスの「コメリ住急番」で電気スイッチの交換工事が依頼可能 |
これらのサービスを利用した場合の費用には、スイッチ本体の代金、交換作業費、そしてホームセンターの仲介手数料などが含まれる場合があります。詳細は、各ホームセンターのサービス窓口で確認しましょう。
電気スイッチ交換・修理の費用相場

電気スイッチの交換は、業者に依頼すると1か所あたり5,000円〜が相場。スイッチの種類や施工条件によっては、1万円を超えることもあります。ここでは、電気スイッチの交換や修理にかかる費用をみていきましょう。
スイッチ本体の交換費用
新しいスイッチに交換する場合の費用相場は、以下のとおりです。
スイッチ本体の交換費用の目安
内容 | 費用相場 |
---|---|
スイッチ本体代 | 一般的な片切・3路スイッチ:約500円 ~ほたるスイッチ、パイロットスイッチ:約1,000円 ~調光スイッチ、人感センサー付きスイッチ、多機能スイッチ:約3,000円 ~ |
作業費 | 1か所あたり 約3,000円 ~ |
出張費 | 無料〜約3,000円程度 |
機能やデザイン、配線の構造などによって、費用が変動します。また、業者によって基本料金に含まれる場合や、別途発生するなどさまざまです。さらに、遠方や時間外対応では高くなることもあります。
スイッチプレート(カバー)のみの交換費用
スイッチ本体に問題はなく、カバーの破損やデザイン変更が目的の場合は、1か所あたり 約3,000円〜。本体を触らないため、作業費は約2,000円〜と比較的安価ですが、プレート(カバー)代(数百円〜)や出張費用が別途かかります。
スイッチの新設・増設費用
既存の場所以外に新しくスイッチを設けたり、別の場所から操作できるように増設したりするケース。配線の引き込みや壁の加工が必要になるため、費用は高くなります。
相場は1か所あたり 約8,000円〜。これにスイッチ本体代や作業費に加え、配線工事費や壁の補修費などが加算されます。
また、配線の長さ、壁の材質(石膏ボード、コンクリートなど)によって大きく変動するので、留意しましょう。
電気スイッチ交換・修理の業者選びのポイント

電気スイッチのトラブルをより安全で確実な解決を求めるには、専門業者への依頼が欠かせません。依頼の際には「電気工事士の資格を持つ業者が対応する」ことや、「明瞭な見積もりと十分な説明がある」ことをしっかり確認しましょう。
ここでは、ホームセンター以外で、電気スイッチの交換・修理を依頼できる先を紹介します。
地域の電気工事店
地域に根ざした電気工事店は、家庭の電気トラブル解決において、もっとも身近で頼りになる存在です。個人経営の小規模な店舗から、地域内で複数のスタッフを抱える中規模の会社まで、規模はさまざま。
地域密着型であるため、緊急時の駆けつけが比較的早い傾向があります。突然のスイッチ不具合など、すぐに解決したい場合に助かるでしょう。
また、広告費や仲介手数料などがかからない分、大手と比較してリーズナブルな価格でサービスを提供している場合もあります。ただし、業者によって技術力や料金体系に差があるため、事前の情報収集や見極めが重要です。
大手家電量販店の修理サービス
大手家電量販店が提供する修理サービスは、「家電製品の購入と合わせて電気工事も依頼したい」と考えている場合、便利な選択肢です。一般的に、家電量販店が提携している電気工事業者が派遣される形となります。
大手企業としての信頼性があり、家電の購入から設置・修理までをまとめて相談できるため、手間が省けます。そのいっぽうで、中間マージンや広告費が上乗せされるため、地域の電気工事店に直接依頼するよりも高くなるケースも。
また、提携業者との連携になるため、希望の日程で工事を予約しにくいことがあります。
インターネットの比較サイト
インターネットの比較サイトやマッチングサービスは、その手軽さから近年増えています。複数の電気工事業者からまとめて見積もりをとって比較検討できるため、適正価格を見つけやすいのがメリットです。
実際にサービスを利用した人の口コミや評価も確認できますが、登録されている業者の質は実にさまざま。業者選びの判断としてはあくまで参考程度にして、最終的には自分でしっかり見極めましょう。
電気スイッチ交換はプロに依頼しよう
電気スイッチの調子は、快適な日常に直結します。突然不具合が起こったら、まずは自分で対応できる範囲かを確かめることが大事です。
電気スイッチの修理や交換は、業者のほかホームセンターでも取り扱っています。店舗によって対応が異なるので、気になる場合は近くのホームセンターのサービス窓口に相談してみましょう。