はじめに
気づけば部屋にゴミが溜まってしまい、どこから手をつけていいかわからない——。そんな悩みを抱えている方は少なくありません。忙しい日々の中で片付けが後回しになり、いつの間にか手に負えない状態になってしまうことは誰にでも起こりうることです。
この記事では、自宅内にゴミが溜まってしまった場合、自分で掃除すべきか業者に依頼すべきかの判断基準と、費用を抑えるために自分でできることについて詳しく解説します。
自分で掃除するか業者を呼ぶか:判断のポイント
自分で対応できる場合の目安
まずは、自力で対応可能かどうかを見極めることが重要です。以下の条件に当てはまる場合は、自分で掃除することをおすすめします。
ゴミの量が少ない場合 45リットルのゴミ袋で5〜10袋程度であれば、週末を使って自分で処理することが現実的です。作業時間は1〜2日程度を見込んでおけば十分でしょう。
体力と時間に余裕がある場合 重いものを運んだり、長時間作業したりする体力があり、まとまった休日を確保できるなら自分で対応可能です。
精神的な負担が少ない場合 ゴミを見ても強いストレスを感じず、作業に取り組める精神状態であることも大切です。片付けに対して過度な不安や嫌悪感がある場合は、無理せず専門家に相談することも検討しましょう。
業者に依頼すべき場合の目安
一方で、以下のような状況では業者への依頼を真剣に検討すべきです。
ゴミの量が多い場合 45リットルのゴミ袋が20袋以上、または部屋の床が見えないほどゴミが堆積している場合は、素人が対応するには限界があります。作業量が膨大で、自力では数週間かかってしまうこともあります。
重量物や大型ゴミが多い場合 家具や家電製品など、一人では運べない重量物が多い場合は、怪我のリスクもあります。特に2階以上の部屋からの搬出は専門的な技術が必要です。
悪臭や害虫の発生がある場合 長期間放置されたゴミから悪臭が発生していたり、ゴキブリやハエなどの害虫が発生している場合は、衛生面での問題が深刻です。適切な処理と消毒が必要なため、プロに任せるのが賢明です。
期限が迫っている場合 引っ越しや大家さんからの指摘など、早急に片付けなければならない事情がある場合は、業者の力を借りることで確実に期限内に完了できます。
心理的に辛い場合 うつ状態や精神的な疲労で片付けに取り組めない、ゴミを見るだけで気分が落ち込むという場合は、無理をせず専門業者に依頼することをおすすめします。メンタルヘルスを優先することが何より大切です。
費用相場を知っておこう
業者に依頼する場合の費用相場を把握しておくことで、自分で行う場合との比較がしやすくなります。
不用品回収業者の相場
- 軽トラック1台分:3万円〜5万円
- 2トントラック1台分:6万円〜10万円
- ゴミ屋敷レベル(1DK〜1LDK):10万円〜30万円
便利屋・片付け業者の相場
- 時間制:1時間あたり3,000円〜5,000円
- 作業員1名につき:1万円〜2万円/日
これらの費用には、作業費、車両費、処分費が含まれることが一般的ですが、見積もり時に必ず確認しましょう。
費用を抑えるために自分でできること
業者に依頼する場合でも、事前に自分でできることを済ませておくことで、費用を大幅に削減できます。
1. 分別作業は自分で行う
ゴミの分別は時間がかかる作業ですが、自分で行うことで業者の作業時間を短縮できます。可燃ゴミ、不燃ゴミ、プラスチック、ペットボトル、紙類などに分類しておきましょう。分別が終わっていれば、業者は運搬と処分だけで済むため、料金が安くなります。
2. 自治体の回収を最大限活用する
週に2〜3回ある自治体のゴミ収集日を利用して、少しずつゴミを出していきましょう。1回の収集で出せる量には制限がありますが、数週間かけて計画的に出せば、処分費用は無料です。
粗大ゴミも自治体の収集サービスを利用すれば、1点数百円から処分できます。業者に依頼すると1点数千円かかることもあるため、時間に余裕があるなら自治体サービスを使うべきです。
3. 売れるものは売る
まだ使える家電製品、本、衣類、ブランド品などは、リサイクルショップやフリマアプリで売却しましょう。ゴミとして捨てるのではなく現金化できれば、清掃費用の足しになります。
おすすめの売却方法
メルカリ・ラクマなどのフリマアプリ 小物や衣類、本、ゲームなどは写真を撮って出品すれば、比較的高値で売れることがあります。発送の手間はかかりますが、リサイクルショップよりも高く売れる傾向があります。
ジモティー(地元の掲示板) 大型家具や家電は、ジモティーでの譲渡がおすすめです。「無料で譲ります」として出品すれば、引き取り手が自宅まで来てくれるため、運搬の手間も処分費用もゼロになります。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ソファ、ベッドなど、処分に費用がかかるものほど需要があります。
実際に「動作確認済み」「多少の傷あり」など状態を正直に書けば、引き取り手は見つかりやすいです。急いでいる場合は「即日引き取り可能な方優先」と記載すると、早く片付けられます。
出張買取サービス 重い家具や家電も自宅まで引き取りに来てもらえます。買取不可でも無料で引き取ってくれる場合もあるため、問い合わせてみる価値があります。ブックオフやセカンドストリートなどの大手チェーンは出張買取に対応しています。
4. 段階的に作業を進める
一度にすべてを片付けようとせず、部屋ごと、エリアごとに分けて少しずつ進めましょう。毎週末に1エリアずつ片付ければ、心理的な負担も軽く、確実に前進できます。
最初は「玄関だけ」「キッチンだけ」といった小さな目標を設定し、達成感を味わいながら進めることがモチベーション維持のコツです。
5. ハイブリッド方式を検討する
すべてを自分でやる、またはすべてを業者に任せるという二択ではなく、「自分でできる部分は自分で、難しい部分だけ業者に」というハイブリッド方式もおすすめです。
例えば、小さなゴミや分別は自分で行い、大型家具の搬出や最終的なハウスクリーニングだけ業者に依頼する方法です。これにより、費用を3〜5割程度削減できることもあります。
6. 複数の業者から見積もりを取る
業者に依頼する場合は、必ず3社以上から見積もりを取りましょう。同じ作業内容でも業者によって料金が大きく異なることがあります。
ただし、極端に安い業者には注意が必要です。後から追加料金を請求されたり、不法投棄をされたりするリスクがあります。料金だけでなく、口コミや実績も確認しましょう。
7. 友人や家族に手伝ってもらう
信頼できる友人や家族に手伝ってもらえば、作業効率が格段に上がります。一人では運べない重いものも、二人なら運べることが多いです。
お礼は食事をごちそうしたり、相手が困ったときに助けたりすることで十分です。業者に依頼するよりもはるかに安く済みます。
8. 消毒・消臭は自分で対応する
ゴミを片付けた後の部屋の消毒や消臭も、自分で行えば業者に依頼するよりも大幅に費用を抑えられます。ハウスクリーニング業者に消毒・消臭を依頼すると、ワンルームでも3万円〜5万円かかることがありますが、自分で行えば数千円で済みます。
消毒の具体的な方法
アルコール除菌スプレー 床、壁、棚などの表面を消毒するには、市販のアルコール除菌スプレーが効果的です。ドラッグストアで購入できる消毒用エタノール(濃度70〜80%)を使用しましょう。500mlで500円〜800円程度です。
次亜塩素酸ナトリウム液(ハイターなど) より強力な消毒が必要な場合は、キッチンハイターなどの塩素系漂白剤を薄めて使用します。水1リットルに対してキャップ2杯程度を混ぜ、雑巾に含ませて床や壁を拭きます。ただし、色落ちする可能性があるため、目立たない場所で試してから使用してください。
作業のポイント
- 必ずゴム手袋とマスクを着用する
- 窓を開けて換気しながら作業する
- 上から下へ、奥から手前へと順番に拭いていく
- 特にキッチンや水回りは念入りに消毒する
消臭の具体的な方法
重曹を使った消臭 重曹は安価で安全な消臭剤です。ドラッグストアで1kg300円程度で購入できます。重曹を小皿や容器に入れて部屋の隅に置いておくだけで、臭いを吸着してくれます。カーペットや畳には重曹を振りかけて1時間ほど放置し、その後掃除機で吸い取ると効果的です。
クエン酸スプレー 水200mlにクエン酸小さじ1杯を溶かしてスプレーボトルに入れ、カーテンや壁、クッションなどにスプレーします。クエン酸は酸性なので、アルカリ性の臭い(アンモニア臭など)に効果があります。
オゾン消臭 本格的な消臭をしたい場合は、オゾン発生器のレンタルも検討できます。1日2,000円〜3,000円程度でレンタルでき、部屋を密閉して数時間稼働させるだけで、強力な消臭効果が得られます。
炭や消臭剤の設置 ホームセンターで売っている備長炭や竹炭、市販の消臭剤(無香料タイプがおすすめ)を部屋の数カ所に置きます。クローゼットや下駄箱の中にも忘れずに設置しましょう。
換気を徹底する 消毒・消臭作業の後は、最低でも2〜3日間は窓を開けて換気を続けます。可能であれば扇風機やサーキュレーターで空気を循環させると、より効果的に臭いが抜けます。天気の良い日を選んで作業するのがポイントです。
プロの消臭が必要なケース ただし、以下のような場合は自力での消臭が難しいため、専門業者に依頼することをおすすめします。
- 壁や床に臭いが染み込んでいる場合
- ペットの尿などで腐敗臭がする場合
- 何をしても臭いが取れない場合
このような状況では、オゾン脱臭や特殊清掃が必要になることがあります。
作業を始める前の準備
自分で掃除を始める場合、以下の準備をしておくとスムーズです。
必要な道具
- ゴミ袋(多めに用意、45リットル×50枚程度)
- 軍手やゴム手袋(厚手のものが安全)
- マスク(できればN95規格のもの)
- 掃除機や雑巾
- 殺虫剤(必要に応じて)
- 台車やキャリーカート(重いものの運搬用)
- 消毒用エタノールまたはアルコールスプレー
- 重曹・クエン酸(消臭用)
- バケツ、スプレーボトル
- 新聞紙やビニールシート(床の保護用)
作業のスケジュール
- 天気の良い日を選ぶ(換気のため)
- 朝から始めて、午前と午後に分けて休憩を取る
- 水分補給をこまめに行う
ゴミ収集日の確認
- 自治体のゴミ収集カレンダーをチェック
- 粗大ゴミの予約が必要な場合は早めに申し込む
まとめ:自分に合った方法を選ぼう
自宅にゴミが溜まってしまったとき、「自分で掃除する」「業者に依頼する」のどちらが正解かは、状況によって異なります。
ゴミの量が少なく、時間と体力に余裕があるなら、自分で少しずつ片付けることで費用をゼロに抑えられます。一方、ゴミの量が多い、期限が迫っている、精神的に辛いという場合は、無理をせず専門業者の力を借りることが最善の選択です。
大切なのは、自分の状況を正直に見極め、無理のない方法を選ぶことです。そして、費用を抑えたいなら、自分でできることから始めて、必要な部分だけプロに任せるハイブリッド方式も有効な選択肢となります。
清潔で快適な住環境を取り戻すことは、心の健康にも直結します。この記事が、あなたの片付けの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。