換気扇は、室内の空気を排出し、室外の空気を取り入れる装置です。住宅においては、キッチンや浴室、トイレなどさまざまな場所で重要な役割を果たしています。しかし、長期間使用すると、性能の低下や故障が発生するため、適切なタイミングでの交換が必要です。
この記事では、換気扇交換にかかる費用の相場や具体的な事例、依頼先の選び方、交換が必要なサイン、そして自分で交換できる場合の注意点まで、わかりやすく解説します。交換費用を把握し、適切な業者選びやメンテナンスに役立ててください。
【場所別】換気扇交換の費用相場

換気扇の交換費用は、キッチン・浴室・トイレなど設置場所ごとに機能や工事内容が異なるため、費用にも差が生じます。各場所における換気扇交換の費用相場について詳しく見ていきましょう。
キッチンの換気扇交換費用
キッチンの換気扇は、レンジフード型やプロペラファン型など複数のタイプがあり、機能やグレードによって費用が変動します。レンジフード型の場合、本体価格は2万~20万円程度まで幅広く、工事費用を含めた総額は2万~20万円程度が一般的です。
プロペラファン型は比較的安価で、本体価格7,000円程度から選べますが、レンジフード型は高機能なものほど費用が高くなります。
浴室の換気扇交換費用
浴室の換気扇は、シンプルな換気機能のみのタイプから、暖房や乾燥機能が付いた多機能タイプまでさまざまです。天井埋込型のシンプルな換気扇の場合、交換費用は2万~6万円程度が相場です。
浴室換気暖房乾燥機などの多機能タイプでは、4万程度からと言われていますが、種類によっては10万円を超える場合もあります。
トイレの換気扇交換費用
トイレの換気扇は、パイプ用ファンやダクト用換気扇などが主流です。交換費用は2万~5万円程度が一般的ですが、高機能タイプの場合は6万円程度までかかることもあります。設置場所や換気扇の種類によっても費用が変わります。
【ケース別】換気扇交換費用の具体例

実際の交換事例をもとに、より具体的な費用例を紹介します。機種の選択や工事の複雑さによって費用が大きく変わるので、予算計画の参考にしてください。
キッチン換気扇交換費用の具体例
キッチンでは主にレンジフード(シロッコファン型)とプロペラファン型の2種類が使われています。以下の表は、それぞれの費用項目ごとの目安です。
項目 | レンジフード(シロッコファン型) | プロペラファン型 |
本体価格 | 20,000円~200,000円 | 7,000円~30,000円 |
工事費 | 15,000円~30,000円 | 10,000円~20,000円 |
追加工事費 | 5,000円~30,000円 | 5,000円~20,000円 |
総額目安 | 35,000円~230,000円 | 17,000円~70,000円 |
レンジフード型は本体価格の幅が広く、高機能タイプほど費用が高くなります。プロペラファン型は比較的安価で、工事費も抑えられる傾向があります。
浴室換気扇交換費用の具体例
浴室の換気扇には、浴室換気暖房乾燥機(多機能タイプ)、天井埋込型(シロッコファン型)、プロペラファン型があります。各タイプの費用項目ごとの目安は下記の通りです。
項目 | 浴室換気暖房乾燥機(多機能) | 天井埋込型(シロッコファン) | プロペラファン型 |
本体価格 | 45,000円~170,000円 | 20,000円~40,000円 | 7,000円~15,000円 |
工事費 | 20,000円~50,000円 | 15,000円~25,000円 | 10,000円~20,000円 |
追加工事費 | 10,000円~30,000円 | 5,000円~15,000円 | 5,000円~10,000円 |
総額目安 | 75,000円~250,000円 | 35,000円~80,000円 | 22,000円~45,000円 |
多機能タイプは本体価格と工事費が高額ですが、乾燥や暖房などの機能が充実しています。天井埋込型は一般的な浴室で多く使われており、プロペラファン型は小規模な浴室向けです。
トイレ換気扇交換費用の具体例
トイレの換気扇には、パイプ用ファン(壁付け・小型)、ダクト用換気扇(天井埋込型)、高機能タイプがあります。以下の表は、それぞれの費用項目ごとの目安です。
項目 | パイプ用ファン(壁付け・小型) | ダクト用換気扇(天井埋込型) | 高機能タイプ |
本体価格 | 5,000円~15,000円 | 10,000円~25,000円 | 20,000円~40,000円 |
工事費 | 10,000円~15,000円 | 15,000円~25,000円 | 20,000円~30,000円 |
追加工事費 | 5,000円~10,000円 | 5,000円~10,000円 | 10,000円~20,000円 |
総額目安 | 20,000円~40,000円 | 30,000円~60,000円 | 40,000円~90,000円 |
パイプ用ファンは最も手軽に交換でき、費用も抑えられます。ダクト用換気扇や高機能タイプは、設置環境や機能によって費用が高くなります。
換気扇交換はどこに頼む?依頼先の特徴

換気扇の交換を依頼できる主な業者と、それぞれの特徴を紹介します。
ホームセンターや家電量販店
ホームセンターや家電量販店は、換気扇本体の購入から交換工事までワンストップで対応できる点が大きな特徴です。店舗で商品を選んだ後、そのまま工事の申し込みができるため、手続きが簡単な点が魅力。また、最近ではオンライン相談などのサービスも充実しています。
費用は15,000~45,000円程度が目安で、店舗独自の保証が付く場合もあります。工事は店舗と提携している専門業者が担当し、施工品質も一定水準が保たれているのも魅力です。アフターサービスやポイント還元なども利用できるため、利便性とコストパフォーマンスを重視したい方におすすめです。
リフォーム会社
リフォーム会社は、換気扇交換を含む住宅設備工事全般に精通していることが強みです。メーカーを問わず幅広い製品に対応でき、建物の構造や他の設備との調和も考慮した提案や施工が可能です。工事保証制度が充実している会社が多く、施工後のトラブルにも迅速に対応してもらえる安心感があります。
複数のリフォームを同時に検討している場合や、キッチンや浴室などの大規模な工事を伴う場合にも適しています。費用は工事内容や規模によって幅がありますが、品質やアフターサービスを重視する方に選ばれることが多いです。
電気工事会社
電気工事会社は、換気扇の配線工事や電気的な接続に関する専門知識と技術を持っています。ダクト式や電源直結タイプ、浴室乾燥機付き換気扇など、複雑な工事が必要な場合に適しているでしょう。電気工事士の資格を持つ作業員が対応するため、法律や安全基準を遵守した施工が期待できます。
工事保証や損害保険に加入している業者も多く、安心して依頼できるのが特徴です。即日対応や緊急工事にも柔軟に対応できる場合があり、施工品質や安全性を重視する方におすすめです。
ガス会社
ガス会社は、キッチンや浴室などガス機器と連動した換気扇の設置や交換に対応しています。ガス漏れ検知機能付き換気扇など、専門的な知識が必要な場合にも安心して依頼できます。住宅のガス設備全体を把握したうえで工事を行うため、設備同士の相性や安全性にも配慮した施工が可能です。
アフターサービスや定期点検とあわせて依頼できることも多く、ガス機器と換気扇を同時にメンテナンスしたい方に向いています。費用は工事内容や機種によって異なりますが、専門性と安全性を求める場合に適しているでしょう。
換気扇メーカー
換気扇メーカーに直接依頼する場合、自社製品の交換やメンテナンスを専門スタッフが担当します。純正部品の使用や製品仕様に合った正確な施工が受けられるため、製品本来の性能を最大限に引き出せるのが魅力です。メーカー保証やアフターサービスも充実しており、万が一の不具合にも迅速に対応してもらえるのも安心できるでしょう。
特定のメーカー製品を長く使いたい場合や、特殊な換気扇の交換を希望する場合に向いています。費用はやや高めになることもありますが、品質やサポートを重視する方におすすめです。
換気扇交換が必要なタイミングとは

換気扇は、交換時期を逃すと、カビの発生や電気トラブルなど健康・安全に関わるリスクが高まります。交換が必要になるタイミングについて、具体的な状況を解説していきましょう。
使用年数が10年を過ぎたとき
換気扇の使用年数が10年を超えた場合は、交換を検討するタイミングとされています。一般的に、換気扇の寿命は10~15年程度とされており、設計上の標準使用期間も10~15年が目安です。この期間を過ぎると、内部の部品やモーターが経年劣化しやすくなり、突然の故障や性能低下が起こるリスクが高まります。
とくに、キッチンや浴室など湿気や油煙が多い場所では、使用環境によってさらに寿命が短くなることも多いです。10年以上使用している場合は、故障やトラブルがなくても、早めの交換を検討することで安心して使い続けられるでしょう。
異音がしたとき
換気扇から普段とは異なる音が聞こえる場合は、内部部品の劣化や故障のサインです。たとえば「ジー」「キィー」「カラカラ」「ゴー」などの異音は、モーターやファンの回転軸、部品の摩耗や油切れ、汚れの蓄積などが原因で発生します。これらの異音は、換気扇内部で異常が起きていることを示しており、放置するとさらに大きなトラブルにつながる恐れがあります。
異音が発生した場合は、まず掃除や簡単な点検を行い、それでも改善しない場合は早めに交換を検討することがおすすめです。異音を放置すると、突然動かなくなるリスクもあるため注意しましょう。
吸引力や換気性能が低下したとき
換気扇の吸引力や換気性能が明らかに低下した場合も、交換のタイミングです。たとえば、台所のにおいがなかなか消えない、浴室の湿気が抜けにくいなどの症状が現れたときは、換気扇本体の劣化やモーターの消耗が進んでいる可能性があります。
フィルターやファンの掃除を行っても改善しない場合は、内部の部品が寿命を迎えていることが多いです。換気性能の低下は、室内環境の悪化やカビの発生にもつながるため、早めの対応が必要です。
動作不良があったとき
換気扇のスイッチを入れても動かない、ファンの回転が遅い、動作が不安定になるなどの不具合が発生した場合は、故障や部品の破損が疑われます。このような動作不良は、モーターや電気系統のトラブルが原因であることが多く、修理で対応できない場合は交換が必要です。
また、頻繁に同じトラブルが発生する場合や、修理してもすぐに再発する場合も、新しい換気扇への交換がおすすめです。安全面や快適性を維持するためにも、動作不良が見られたら早めに対応しましょう。
省エネや効率化を図りたいとき
古い換気扇を使い続けていると、電気代が高くなったり、清掃やメンテナンスの手間が増えたりすることがあります。最新の換気扇は、省エネ性能や静音性、清掃のしやすさなどが大幅に向上しているため、効率的な換気や電気代の節約を目指す場合にも交換を検討するとよいでしょう。
また、住宅のリフォームや他の設備の更新とあわせて換気扇を新しいものに交換することで、工事効率や費用面でもメリットが得られます。省エネや効率化を意識する場合は、最新機種への交換を積極的に検討するとよいでしょう。
換気扇交換は自分でできる?

換気扇の交換は、自分でできる場合と専門業者に依頼すべき場合があります。具体的に見ていきましょう。
自分でできる場合と専門業者に依頼すべき場合がある
プロペラファン型のコンセント式換気扇は、電気工事不要で自分で交換できるケースが多いです。壁に設置されたシンプルなタイプであれば、説明書を見ながら作業を進められます。
一方、ダクト式や電源直結タイプ、浴室乾燥機付きなどの複雑な換気扇は、配線工事やダクト工事が必要となるため、専門業者に依頼することが安全です。
自分で交換する際の注意点
自分で換気扇を交換する場合は、既存の換気扇とサイズや取り付け方法が合っているかを確認しましょう。設置場所や壁の厚み、電源の位置なども事前に把握する必要があります。
また、作業中はブレーカーを切るなど、安全対策を徹底することが重要です。設置方法がわからない場合や、不安がある場合は、無理をせず専門業者に依頼しましょう。
換気扇交換費用について知っておこう
換気扇の交換費用は、設置場所や換気扇の種類、機能、工事内容によって大きく異なります。キッチンや浴室、トイレなど、場所ごとの相場や具体例を参考に、必要な費用を把握しておくことが大切です。
また、依頼先ごとの特徴や、自分で交換できる場合の注意点も理解しておくと、より安心して工事を進められます。換気扇は快適な住環境を維持するための重要な設備であるため、計画的な交換とメンテナンスを心がけましょう。