夏の暑さや冬の寒さから快適な生活を提供してくれるエアコンは、日常に欠かせないアイテム。その心臓部である室外機が動かなくなったら、どう対処したらいいのか判断に迷いますよね。
本記事では、エアコンの室外機が動かなくなる原因のほか、自分でできる簡単な対処法や専門業者への依頼が必要なケース、トラブル防止策を徹底解説します。
この記事を読めば、いざというときにトラブルがあっても、冷静に対処できるようになるでしょう。
室外機が動かないとどうなるの?

エアコンをつけたのに部屋がまったく冷えない、暖まらない……そのようなときに疑うべきなのが「室外機」の異常です。エアコンは、室内機と室外機が連携して冷暖房を行っています。
室外機が動かないと、冷媒ガスが循環しません。そうなると、エアコンは「送風モード」のような状態になります。室内機から風は出るものの、冷たくも暖かくもない空気が出てくるだけになるのです。
また、「室外機のファンが回っていない」「音がまったくしない」などの症状がある場合、早急な対処が必要になります。
室外機が動かないおもな原因

室外機が動かなくなるのは、なんらかの背景があります。ここでは、どのようなことで止まってしまうのか、おもな原因と症状を6つ解説していきます。
室外機のまわりがふさがっている
室外機のまわりがふさがっていると、動かなくなることがあります。室外機は、運転中に発生する熱を効率的に外部へ放出する役割があるため、スムーズな流れが欠かせません。
以下のように、室外機の周囲がこのような状態になっていたら、要注意です。
- 植木鉢やプランター、洗濯物、ビニールシートなどの物が置かれている
- 落ち葉が吹き込んで内部につまっている
- 雑草が茂って通風を妨げている など
室外機から発する熱が放出されないと、内部の温度が異常に上昇して運転が停止してしまう結果につながりかねません。
制御基板が故障している
室外機がまったく動かない場合、内部の制御基板やリレーなどの部品の故障が考えられるでしょう。室外機には、ファンモーターやコンプレッサーといった主要部品の動作を制御する電子基板が搭載されています。
この制御基板が故障すると、室外機内の部品へ正しい動作指令が伝わらなくなり、動作しなくなるのです。また、電気回路の切り替えを行うリレーが故障した場合も、同様に部品への電力供給が途絶え、動作不良につながります。
そのほかにも、経年劣化や雷サージなどの外的要因によって故障することもあります。これらの部品の故障は、専門的な知識がないと特定や修理が困難です。
コンプレッサーが故障している
コンプレッサーの故障は、運転音の異常や振動の増大、あるいはまったく動作しないといった症状として現れることがあります。コンプレッサーは、エアコンの冷媒を圧縮・循環させる、まさに心臓部ともいえる非常に重要な部品です。
これが故障してしまうと、室外機自体が振動したり、わずかな動作音を発したりすることがありますが、冷媒を適切に循環できなくなります。そのため、冷暖房機能はまったく発揮されません。
ファンモーターが回らない
室外機に搭載されているファンは、内部の熱を効率的に外部へ排出する役割があります。このファンを駆動するファンモーターが、経年劣化や軸受けの潤滑不良や異物の挟まりなどによって正常に回転しなくなると、室外機内部の温度が上昇してしまうのです。
その結果、保護機能が働いて運転が停止したり、異音が発生したりすることがあります。ファンがまったく回らない、回転が遅い、あるいは異音がする場合は、ファンモーターの不具合を疑いましょう。
冷媒(ガス)漏れしている
エアコンは、冷媒と呼ばれる特殊なガスを循環させることで、室内の熱を移動させて冷暖房を行っています。配管の接続不良や経年劣化などによって冷媒ガスが漏れてしまうと、冷暖房能力が著しく低下し、室外機が異常を検知して運転を停止することもあるのです。
冷房や暖房の効きが悪くなったと感じたら、冷媒漏れの可能性が高いかもしれません。
送風モードになっている
エアコンが送風モードになっている場合、室外機は動きません。送風モードの目的は、室内機に搭載されたファンを回転させることで、室内の空気を循環させることです。
したがって、冷房や暖房運転時のように、室内機と室外機が連携して温度を変化させるための熱交換器は使用されません。このモードが選択されている場合、室外機は基本的に動作しないのです。
自分でできる直し方とチェックポイント

自宅のエアコン室外機が突然動かなくなってしまった場合、まずは自身でチェックをしましょう。確認するポイントは5つあります。簡単なセルフチェックで原因が解決することもあるので、ぜひ覚えておきましょう。
ブレーカーの確認
室外機は、室内機とは別に専用のブレーカーが分電盤に設置されているのがほとんどです。落雷や一時的な電圧の変動などによって、このブレーカーが安全のために自動的に「切」になっているかもしれません。
まずは分電盤を開け、エアコン、とくに室外機と記載されたブレーカーが「切」になっていないかを確認してください。「切」になっていた場合は一度「入」にすると、室外機が稼働する可能性があります。
ただし、ブレーカーを戻してもすぐに切れてしまう場合は、電気系統の問題が考えられるため、無理に何度も操作せず、専門の電気工事店やエアコン修理業者に点検を依頼してください。
電源プラグとコンセントの安全確認
室外機によっては、電源コードとコンセントで接続されているタイプもあります。メンテナンスや工事の後などに、プラグが中途半端に抜けかかっていたり、なんらかの拍子に完全に抜けてしまっていたりすることも考えられるでしょう。
そのほか、プラグやコンセントが長期間の使用によりゆるんでいる場合も、接触不良の原因に。室外機の電源プラグがコンセントにしっかりと奥まで差し込まれているか、ぐらつきがないかなどを確認してください。
屋外で使用されるコンセントは、雨水や湿気の影響を受けやすい場合もあるため、異常がないかも合わせてチェックしましょう。
リモコン設定を確認
室外機が動かない原因として、意外にもリモコンの設定ミスが考えられます。「送風」や「除湿」という冷暖房を行わないモードになっている場合、室外機は基本的に動作しません。
また、暖房運転時に極端に高い温度設定にしていたり、冷房運転時に極端に低い温度設定にしていたりすると、室温が設定温度に達していると判断され、室外機の運転が一時的に停止することがあります。
リモコンの表示を確認し、希望する冷暖房モードになっているか、温度設定が適切であるかを見直してみてください。
霜取り運転の可能性を確認(冬場)
霜取り運転も、室外機が動かない原因のひとつです。寒い時期に暖房運転をしていると、室外機に霜が付着し、暖房効率が著しく低下します。
エアコンに霜を取り除くための「霜取り運転」機能が搭載されている場合、発動すると一時的に室外機の運転が停止し、普段とは異なる音が聞こえることがあるのです。これは数分から十数分程度で終了し、通常の暖房運転に戻ります。
もし、停止時間が極端に短い、あるいは何度も停止と再開を繰り返すような異常がない場合は、しばらく様子を見てみましょう。
応急運転で故障を確認
上記の4つの方法を試しても改善しない場合、応急運転で故障を確認する方法があります。エアコン本体をリセットすることで、解消されるかもしれません。
リセット方法は機種によって異なるため、自宅エアコンの取扱説明書を確認してください。一般的な方法としては、分電盤にある室外機専用のブレーカーを一度「切」にし、10秒以上(機種によっては数分)待ってから再び「入」にするという手順です。
この操作で、一時的なシステムのエラーが解消されることがあります。
修理が必要なケースと修理代の目安

自分でチェックしても原因がわからず、室外機が止まったままの場合、専門業者に修理を依頼しましょう。ここでは、修理が必要になるケースを解説します。
ぜひ参考にして、然るべき対応をとりましょう。
修理が必要なケースとは?
エアコンの室外機は、快適な室温を保つために欠かせません。以下のような症状が見られた場合は、内部になんらかのトラブルが発生している可能性が高くなります。
- ファンの異常(回らない、異音がする)
- 動作不良(振動はあるが、風が出ない)
- エラーコードの表示(リモコンの表示がエラーになる)
このような場合は放置せず、専門の修理業者に点検を依頼しましょう。
ファンの異常
室外機に搭載されたファンは、内部の熱を効率的に排出する重要なパーツです。このファンがまったく回転しない場合、内部の熱がこもって機器の故障につながる可能性もあります。
また、「ガラガラ」「ジジジ」「キーキー」といった異常な音が聞こえる場合は、ファンモーターの故障や、ファン自体に異物が接触しているなどの原因が考えられるでしょう。
異音を放置すると、より深刻な故障を引き起こす可能性があるため、早めの点検が必要です。
動作不良
室外機が振動音を発しているにも関わらず、温風や冷風が出てこないケースも。この場合は、内部の主要な部品(コンプレッサーなど)が正常に機能していないことが考えられます。
単なる一時的な停止ではないため、そのまま使用し続けることは機器への負担が大きくなり、更なる故障を招く恐れがあるので注意が必要です。
エラーコードの表示
最新のエアコンでは、室外機を含むシステムに異常が発生した場合、室内機のリモコンや本体にエラーコードが表示されるものがあります。このエラーコードは、故障箇所を特定するための重要な手がかりです。
取扱説明書を見てエラーコードの意味をきちんと把握し、記載された対処法を試しても改善しない場合は、すみやかに修理業者にエラーコードを伝え、適切に対応しましょう。
修理代はいくらかかる?
エアコンの修理費用は、故障している部品の種類や、エアコンの年式、メーカー、機種によって大きく変動します。実際の修理費用は、専門業者の診断後に確定するので、ここで紹介する費用は、あくまで目安にしてください。
エアコン部品の修理代目安(一部)
修理内容 | 費用目安 |
ファンモーターの交換 | 10,000円〜 |
制御基板の交換 | 15,000円〜 |
コンプレッサーの交換 | 30,000円〜 |
冷媒ガス漏れの修理・補充 | 10,000円〜 |
これらの修理は、修理には専門的な知識と技術が必要です。とくに、エアコンの心臓部であるコンプレッサーが故障した場合や、修理が困難な場合は比較的高額になるケースがほとんど。
また、修理を依頼する際には、一般的に、修理有無に関わらず出張点検費用がかかります。たとえば日立は3,850円(税込)、ダイキンは7,200円(税込)~と異なるので、自宅のエアコンのメーカーを確認しましょう。
エアコンの平均耐用年数は10年。そのため、経年劣化によるパーツの故障は珍しくありません。場合によっては、修理よりも買い替えた方がコストパフォーマンスが良いことがあります。
室外機トラブルを防ぐために

エアコンの心臓部ともいえる室外機のトラブルは、日常生活に大きな支障をきたしかねません。日ごろから注意し適切に対策をすることで、トラブルを未然に防ぐ可能性が高まります。
ここでは、エアコンをより長くより快適に使い続けるために、ぜひ実践していただきたい予防策を詳しく紹介します。
室外機の周囲に物を置かない
室外機の周囲スペースが空いているからといって、むやみに物を置くのはやめましょう。エアコン運転中に発生する熱がスムーズに放出されないと、故障の要因になりかねません。
室外機のまわりに植木鉢やプランター、ガーデニング用品、ビニールシートなどがあれば、除去してつねに風通しの良い状態にしましょう。少なくとも前面、側面、背面には十分なスペースを確保してください。
定期的に落ち葉やゴミを除去する
季節の変わり目や秋から冬にかけては、室外機のフィンや底面に落ち葉や枯葉、砂ぼこり、 ゴミなどが積もりやすくなります。これらの異物が室外機の運転効率を大きく低下させる原因になりかねません。
さらに、湿った落ち葉などを長期間付着したままにすると、金属部分の腐食を招く可能性もあります。定期的に室外機のまわりを確認し、落ちているゴミや落ち葉をブラシや掃除機などで丁寧に取り除くようにしましょう。
とくにフィンの部分はデリケートなので、力を入れすぎないように注意が必要です。
年に1回は専門業者による点検・クリーニングを
年に1度は専門の業者に依頼して、室外機の内部まで含めた点検とクリーニングを受けましょう。素人では確認できない不具合や、将来的に故障につながる兆候の発見など、リスクの早期発見につながります。
また、高圧洗浄など専用の機材を使ったクリーニングで汚れやカビなどを 除去してもらうのも、室外機の寿命を延ばすうえで欠かせません。
シーズン前に試運転をする
冷房や暖房を本格的に使用するシーズンが始まる前に、試運転をしましょう。そうすることで、シーズン中に「いざ使おうとしたら動かない」という最悪の事態を避けられます。
試運転の際には、以下のように普段とは異なる兆候がないかを注意深く観察してください。
- 異音(ガラガラ音、キーキー音など)
- 異常な振動
- 風量の低下 など
もし少しでも気になる点があれば、使用前に専門業者に点検を依頼すると、トラブル深刻化の防止になります。早期発見と早期対応が修理費用を抑え、快適な期間を長く保つためのポイントです。
室外機が動かなくてもあわてずにセルフチェックしよう
エアコンの室外機が動かないと焦ってしまいがちですが、まずはブレーカーやリモコン設定、室外機周囲の確認など、基本的なポイントをひとつずつ見直してみましょう。それでも直らない場合は、無理をせず専門業者に相談するのが安心です。
室外機の不調は、季節の快適な暮らしに大きく影響します。日ごろからこまめな点検とメンテナンスを心がけて、エアコンを長く快適に使いましょう。