突然の漏電は、放置すると火災や感電のリスクがあるため、早急な対応が必要です。しかし、実際にトラブルが発生すると「どこに修理を依頼すればいいのか?」「費用はどのくらいかかるのか?」と悩んでしまいますよね。
本記事では、漏電修理を依頼する際の費用の目安や業者の選び方のほか、火災保険の適用についても詳しく解説します。万が一のトラブルにも落ち着いて対処できるように、ぜひ参考にしてください。
漏電したらどこに連絡すればよい?

漏電が発生した際の連絡先は、賃貸、戸建て、分譲マンションとそれぞれの住宅環境によって違ってきます。ここでは、住まいによってどこへ相談すればよいのか、解説していきます。
賃貸住宅の場合
賃貸住宅で漏電が発生した場合は、まず管理会社や大家に連絡しましょう。建物全体の設備管理を担当しているため、一般的には指定の電気工事業者に依頼してくれます。
まちがっても、個別に修理業者に調査や修理を依頼しないようにしましょう。なぜなら、修理費用の負担をめぐってトラブルになってしまう可能性があるからです。
また、共用部分の漏電であれば、建物の管理会社が対応するため個別で業者を手配する必要はありません。ただし、入居者自身の過失(コンセントの過負荷など)による漏電の場合は、修理費用を自己負担するケースもあります。
戸建ての場合
戸建て住宅の場合は、「電気保安協会」か「漏電修理業者」に連絡します。
<戸建てで漏電が発生した場合の連絡先>
依頼先 | 説明 |
電気保安協会 | 電力会社からの業務を委託されている電気設備全般を扱う組織で、全国各地に展開している。おもに住宅やお店の電気まわりの点検が担当で、一般的には無料で漏電調査をしてくれる。 |
漏電修理業者 | 電気関係の作業を行っている業者。電気保安協会と異なり、漏電調査に約1万円〜3万円の費用が発生する。 |
なお、契約している電気会社では漏電の原因調査をしてくれません。なぜなら電力会社のおもな業務は、電気を供給することと電線を点検することだからです。そのため、漏電調査は上表に依頼しましょう。
分譲マンションの場合
分譲マンションで漏電が発生した場合は、管理組合や管理会社 にまず相談しましょう。マンションは、個人が所有する専有部分と、廊下・エントランス・電気配線の一部などの共用部分に分かれています。
どの部分で漏電が起きているのかを把握し、しかるべき対応をする必要があるのです。
<分譲マンションで漏電が発生した場合の依頼先>
漏電場所 | 依頼先 |
共用部分(廊下の照明・共用ブレーカーなど) | 管理会社が業者を手配 |
専有部分(室内コンセント・照明・ブレーカーなど) | 電気工事業者に依頼 |
専有部分の漏電修理費用は、基本的に所有者の負担です。ただし、マンションによっては管理組合の規約で補助が出ることもあるので、事前に確認しておくと安心でしょう。
漏電修理の費用相場と日数

漏電が発生すると、電気が正常に使えないだけでなく火災や感電のリスクがあります。そのため、できるだけ早急な修理が必要です。
ただ、修理を依頼する前に「どのくらいの費用がかかるのか?」「修理にはどれくらいの時間がかかるのか?」といった点が気になりますよね。
この章では、漏電修理の費用相場や日数の目安、具体的な作業の流れを詳しく解説します。
漏電修理の費用相場
漏電修理の費用は、故障箇所の特定から修理内容までの難易度によって変動します。一般的な費用相場は、以下のとおりです。なお、相場費用はあくまで目安ですので、参考程度にしましょう。
<漏電修理の相場費用>
修理内容 | 相場費用 |
漏電調査 | 4,000円~ |
分電盤調査 | 7,000円~ |
コンセントやスイッチの交換 | 3,000円~ |
ブレーカー交換 | 15,000円~ |
配線修理 | 2,000円~ |
このように、軽微な漏電は数千円~数万円程度、配線全体に問題がある場合は高額になる可能性もあります。また、出張料や夜間、緊急対応が必要な場合は、追加料金が発生するケースもあるため注意しましょう。
漏電修理にかかる日数
漏電修理の所要時間や日数は、漏電の原因と修理内容によって異なります。一般的な修理にかかる日数の目安は、以下のとおりです。ただし、あくまで目安で、漏電箇所や電気設備の状態により変動します。
<漏電修理にかかる所要時間・日数>
修理内容 | 所要時間・日数 |
漏電調査診断 | 30分~1時間 |
コンセントやスイッチの交換 | 30分~1時間 |
ブレーカー交換 | 1~2時間 |
軽度の配線修理 | 2~4時間 |
大規模な配線工事 | 1日~数日 |
軽微な漏電であれば半日程度での修理が可能ですが、配線全体の交換が必要な場合や、壁の内部工事を伴う修理は数日からかかることもあります。とくに、賃貸住宅や分譲マンションでは管理会社の確認が必要です。修理までの対応に時間を要する可能性があることを、理解しておきましょう。
作業の流れ
漏電修理を依頼する前に、まず以下のセルフチェックで異常を確認をします。
漏電ブレーカーが落ちているかを確認するすべてのブレーカーをオフにし、ひとつずつ入れ直して異常回路を特定する |
このほか、電化製品の故障が原因の可能性もあります。事前確認で漏電が疑われたら、業者に連絡してください。業者による作業の大まかな流れをみていきましょう。
漏電診断
漏電診断では、電気工事士が専用の測定器を使って電気の流れを確認し、どの回路で異常が発生しているのかを特定します。漏電箇所を特定するために、ブレーカーをオンオフしたり、プラグの抜き差しをしたりすることがあります。
修理作業
漏電の原因が特定されたら、修理作業に入ります。おもな修理作業は以下のとおりです。
<おもな修理作業の内容>
コンセントやスイッチの不具合:新しい部品に交換ブレーカーの故障:適切な容量のものに交換配線の損傷:損傷部分の補修や交換 |
修理作業をする際には、電気を一時的に遮断することがほとんどです。そのため、事前に工事の説明を受けましょう。さらに修理作業の内容によっては、生活に支障が出る可能性があります。そのため、事前に修理にかかる時間や完了予定時間を確認しておきましょう。
動作確認
修理が完了したらブレーカーを戻し、電気が正しく供給されているか、修理した箇所に異常がないかを細かくチェックします。すべての電気設備が正常に動作したら完了です。
同時に、コンセントの使い方やブレーカーの負荷管理、定期的な点検の重要性など、再発防止策のアドバイスもしてくれます。日常的に気を付けるべきポイントを実施すれば、今後の漏電トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
修理業者選びのポイント

漏電修理の業者選びは、安全性と確実性を重視しましょう。いったん依頼したものの、修理後に再び漏電が発生したり、必要のない工事を提案されたりするケースがあるためです。
ここでは、信頼できる業者を見極めるための重要なポイントを3つ解説します。
資格や実績を調べる
漏電修理は、専門的な知識と技術が必要な作業です。「電気工事士」の資格を持った業者を探しましょう。この資格がない業者に依頼すると、確実な修理が行われないばかりか、違法工事となる可能性が高くなります。
また、これまでの施工実績もチェックし、どのような修理を手がけてきたのかを確認するとより安心です。ホームページや口コミを参考にしながら、経験豊富な業者を選びましょう。
保証やサービスの内容を確認する
修理後のトラブルを防ぐためには、業者が提供する保証やアフターサービスの内容も重要なチェックポイントです。たとえば、「修理後⚪︎年間は無料で再修理可能」のような保証がある業者なら、万が一不具合が発生しても追加費用をかけずに対応してもらえます。
また、夜間や休日の対応可否、緊急時の出張料金なども確認しておくことも忘れずに。急なトラブルが発生した際にあわてずにすみます。事前に保証内容をしっかり確認し、安心して依頼できるところを見極めましょう。
相見積もりを依頼する
適正な価格で修理を依頼するためには、複数の業者から見積もりを取りましょう。1社だけの見積もりでは相場がわからず、不当に高額な料金を請求されるリスクがあるからです。
相見積もりを依頼することで、適正価格を把握できるだけでなく、サービス内容の違いも比較しやすくなります。ただし、極端に安い業者には注意が必要です。
必要な資格を持たずに工事を実施したり、不十分な修理で追加費用を請求したりするケースもあるため、価格だけでなく信頼性も考慮しましょう。
漏電修理は保険適用される?

漏電修理にかかった費用は、内容によっては火災保険を利用して補償を受けられるケースがあります。ただし、適用条件を満たしているかどうかを事前に確認することが重要です。ここでは、火災保険で補償されるケースや、保険を使う際の注意点、申請の流れについて詳しく解説します。
火災保険で補償されるケース
漏電が火災保険で補償されるケースは、たとえば「漏電による配線ショートによって火事になった場合」です。いっぽうで、火災が発生しない「漏電が原因で電化製品が故障した場合」は、火災保険にセットされる「電気的・機械的事故担保特約」での補償になります。
そのため、契約している火災保険の補償内容を確認し、どの範囲まで補償されるのかを事前に把握しておきましょう。必要に応じて契約内容を見直しすることも大事です。
保険を使う際の注意点
火災保険は、突発的な事故や災害による損害を補償するものです。そのため、築年数の経過による電気設備の老朽化や配線のトラブルなどは、補償の対象外とされるケースが多く自己負担となります。
また、保険金の申請には被害状況を証明する資料が必要です。業者に依頼して修理を行う前に、漏電による被害がわかる写真や修理が必要な箇所の状況を記録しておくと、あわてずにすみます。
さらに、修理前に事前申請が必要な保険会社の場合は、勝手に修理を進めると保険が適用されないので注意しましょう。申請手続きをスムーズに進めるためにも、事前に保険会社へ問い合わせるのが安心です。
漏電による火災保険申請の流れ
漏電が原因で火災や損害が発生し、火災保険を申請する場合は、以下のような流れで手続きを進めます。
①被害状況を確認し、写真を撮る
漏電による損害の状況を確認し、修理を依頼する前に、証拠となる写真を撮影しておきます。家電製品が故障した場合でも、同様に写真を残しておくことが重要です。
②保険会社へ連絡し、申請手続きを開始する
火災保険を契約している保険会社に連絡し、漏電による被害が補償の対象になるかを確認します。申請手続きに必要な書類や手続きの流れを説明してくれるので、被害状況などを詳しく伝えましょう。
③業者に調査・見積もりを依頼する
電気工事業者に、漏電の原因を特定するための調査を依頼します。スムーズな保険申請のためには、専門業者による被害状況の調査報告書や、修理費用の見積書が必要です。
④必要書類を提出し、審査を受ける
保険会社から指示された必要書類(被害状況がわかる写真や漏電調査の報告書、業者の見積書など)を早めに提出します。書類の不備があると、保険金の支払い審査に時間がかかるので気をつけましょう。
なお、書類提出後に、追加資料や説明を求められることがあります。その場合はすぐに対応してください。
⑤保険金が振り込まれる
保険金の支払いが確定したら、修理を進めます。保険金は一般的に指定口座に振り込まれるので、可能ならそれを待って修理を開始してもらうのもいいでしょう。
このように、火災保険を活用する際には、いくつかの手順をふまなければなりません。スムーズに申請を進めるためにも、事前に契約内容を確認し、必要な書類をもれなくそろえておきましょう。
漏電したらすぐに業者に修理を依頼しよう!
漏電が発生したら、まずは落ち着いて状況を確認しましょう。修理業者を選ぶ際は、「電気工事士」の資格を持っているか、実績が豊富かどうかを確認するだけでなく、複数の業者から相見積もりを取ることも大事です。
また、漏電修理にかかった費用は、状況により火災保険が活用できるケースがあります。事前に契約している火災保険の適用条件も確認しておきましょう。
漏電は放置すると火災のリスクが高まります。異常を感じたら、早急に専門業者へ相談するようにしてくださいね。